星野一義

僕が初めて鈴鹿サーキットに行ったのは16〜17歳、モトクロスをやっていた頃。今の交通教育センターにモトクロス場があって、そこでレースをしていたんだけど、監督の目を盗んでは1コーナーあたりでスカイラインとかフェアレディの走りを見て、「次はコレだ!」と思っていた。僕が中学生の頃に鈴鹿サーキットができて、早く行ってみたいという夢も持っていたからね。実際にレーシングコースを走ったのは22歳の頃かな。たしかサニーだったと思う。「ベストラップを出してやる!」という気持ちで走ったよ。
1975年JAFグランプリレース(F2000)
1975年JAFグランプリレース(F2000)
鈴鹿は1コーナーがあって、S字やヘアピン、130Rもある。ようするに低速、中速、高速とすべての要素が揃った独特のコースレイアウトで、そのどれかひとつでも悪かったら勝てない。それはチャレンジする立場としてはドライバー冥利に尽きるんだけど、僕の長いレース人生の中でそのすべてがうまくいったことはなかった。ポールポジションは獲れるけど、すべてのコーナーがベストだったと思えたことはないんだよね。それだけ難しいっていうか。だから鈴鹿サーキットでトップだったら世界一になれる。ちなみに僕はS字が一番好き。S字が決まればヘアピンもシケインも高速コーナーもだいたい速いし、そこがうまくいった時はサーキットを制覇した気分になれるんだよね。
1975年JAFグランプリレース(F2000)

1975年JAFグランプリレース(F2000)

1975年JAFグランプリレース(F2000)

1975年JAFグランプリレース(F2000)

1975年JAFグランプリレース(F2000)

1975年JAFグランプリレース(F2000)

一番思い出に残っているのは1975年のF2000でチャンピオンを獲ったレース(JAFグランプリ)。スタートで出遅れちゃったんだけど、すぐに逆転して優勝。シーズン途中(第2戦)から参戦したんだけど、初めてのビッグタイトルだったからウルウルってしちゃった(笑)。それで「星野=フォーミュラチャンピオン」として世間に認めてもらえるようになったんだよね。
2017年モータースポーツファン感謝デー

2017年モータースポーツファン感謝デー

2017年モータースポーツファン感謝デー

2017年モータースポーツファン感謝デー

あとは2017年の"ファン感"でずっと憧れていたRC(1960年代のGPマシン)に乗せてもらった時は本当に嬉しかったなあ。あまりにも嬉しくて、満席のスタンドに向かって思わず「ホンダさん、ありがとう!」って叫んじゃった。だって、中学生の時からの夢が叶った瞬間だったんだから!あの時に特注で作ってもらったヘルメットやスーツ、ブーツは今も大事にとってあるよ。

さっきも言ったけど、鈴鹿サーキットはドライバーとして走るにもクルマの開発にも最高だし、日本一どころか世界一のサーキットだと思う。ホテルや遊園地があるサーキットなんてほかにないしね。世界一だよ、世界一。オレが保証する!

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