タイヤマルチメイク最終年
鈴鹿でチャンスを狙うヨコハマとダンロップ。
勝負を分けるタイヤとGT500クラスタイヤウォーズの行方

今年のSUPER GTはニューマシン、Honda HRC PRELUDE-GTの登場やニュードライバー、新チームの参戦など話題が多いが、シリーズとしてもっとも大きな転換点とも言えるのが、タイヤのマルチメイク最終年というトピックだ。 
2027年からSUPER GTはワンメイクタイヤになることが発表され、GT500クラス、GT300クラスともにマルチメイク、いわゆるタイヤウォーズは今年で最後となる。今年の第5戦『SUZUKA GT 300km RACE』(8月22〜23日)は、鈴鹿で開催されるSUPER GTタイヤ競争の最後のレースとなるだけに、タイヤへの注目も高まる。 
 
GT500クラスでは今季、ブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップの3ブランドが鎬を削ってタイヤ競争を続けている。共通パーツが多くなった現在のGT500クラスではレースに持ち込むタイヤの選択、そして選んだタイヤと路面コンディションのマッチングが勝負を左右する大きな要因となっている。 
 
その中で今年14台中12台とシェアが圧倒的なブリヂストン勢が表彰台を独占して成績が偏っているが、第5戦鈴鹿は状況が変化する可能性がある。それぞれ1台ずつながら、19号車 TGR TEAM WedsSport BANDOHのヨコハマ、64号車 Modulo Nakajima Racingのダンロップにとって大きなチャンスが到来しているのだ。 
TGR TEAM au TOM’S(au TOM'S GR Supra)

TGR TEAM au TOM’S(au TOM'S GR Supra)

TGR TEAM WedsSport BANDOH(WedsSport BANDOH GR Supra)

TGR TEAM WedsSport BANDOH(WedsSport BANDOH GR Supra)

Modulo Nakajima Racing(Modulo HRC PRELUDE-GT)

Modulo Nakajima Racing(Modulo HRC PRELUDE-GT)

鈴鹿は中高速コーナーが多く、国内のサーキットでもっともタイヤに過酷なレイアウトと言えるコース。さらに8月という年間でもっとも気温が高い時期の開催になることから、タイヤにはさらに過酷な状況が重なる。そして、このコンディションに合わせたかのようにタイヤ開発を進めているヨコハマ、ダンロップの実績が高いことからも、鈴鹿でのGT500クラスの戦いはブリヂストン1強という構図が崩れる可能性も考えられる。 
 
実際、2023年の第3戦鈴鹿では当時ヨコハマタイヤを装着していたKONDO RACING リアライズコーポレーション ADVAN Zが予選でトップタイムをマーク。その後、速さとは関係のない燃料タンク容量の部分で車検不合格となりポールポジションとはならなかったが、一発の速さは間違いなく高かった。 
 
そしてその決勝ではヨコハマタイヤを装着したもう一台、19号車、TGR TEAM WedsSport BANDOHが7年ぶりに優勝を果たした。 
TGR TEAM WedsSport BANDOH (WedsSport ADVAN GR Supra)
TGR TEAM WedsSport BANDOH (WedsSport ADVAN GR Supra)
ダンロップとしてもSUPER GTでは2017年の第6戦鈴鹿1000kmで優勝後、2020年、2021年の夏の鈴鹿でも連続でポールポジションを獲得(2020年/決勝4位、2021年/決勝リタイア)しているように、シーズンの中でも鈴鹿はダンロップが得意としているコースであることは間違いない。 
 
2020年、2021年に予選ポールを獲得し、現在はModulo Nakajima Racingのチーム監督を務める伊沢拓也監督も今回の鈴鹿への熱量は高い。 
 
「開幕前のマレーシア・セパンでのテストからPRELUDE-GTとダンロップタイヤの特性の相性が非常にいい印象があります。開幕戦、第2戦は僕たちも驚いてしまうくらい苦戦している状況ですが、第2戦後にデータを見直し、いくつかのタイヤテストをこなして原因を確認しています。ダンロップとしては鈴鹿での相性がいいのは間違いないところですし、今年の鈴鹿は舗装が新しくなったのでその影響がGTでどこまであるかというのは難しいファクターですが、昨年舗装が新しくなったSUGOで高いパフォーマンスを出せているので、いろいろな組み合わせを考えても鈴鹿は好結果を獲らなきゃいけないレースだと思っています」 
Modulo Nakajima Racing(Modulo HRC PRELUDE-GT)
Modulo Nakajima Racing(Modulo HRC PRELUDE-GT)
迎える立場となる王者ブリヂストン陣営も、マルチメイクが今年で最終年になるとはいえ、開発陣が「最後のレースまで例年どおり開発を進めていきます」と明言しているように、その歩みを緩めるようなことは一切ない。SUPER GTマルチメイク最終年のタイヤバトル、GT500クラス、そしてGT300クラスともにタイヤウォーズの鈴鹿ラストレースとしてしっかり目に納めておきたい。

︎SUPER GT 500クラス 鈴鹿ラウンドにおける近年5年のトピックス

2020年第3戦

新型コロナの影響で変則スケジュールとなった2020年シーズン。予選ではModulo Nakajima Racing NSX-GTの伊沢拓也が99戦目、フル参戦13年目にして初ポールポジションを獲得。無観客の第3戦鈴鹿GT500クラス決勝は序盤からトップ争いが繰り広げられ、3度のセーフティカーが出る荒れた展開の中、NISMO MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が混乱を制し今季初優勝を挙げた。 
NISMO MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
NISMO MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)

2020年第6戦

前日の予選でクラッシュしGT500クラス最後尾の15番グリッドからスタートしたNISMO MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が、セーフティカー導入タイミングの絶妙ピット戦略で大逆転優勝を飾った。 
NISMO MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
NISMO MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)

2022年第3戦

NDDP RACING CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)が前戦富士の大クラッシュから復活勝利。新型ニッサンZ GT500クラス初優勝を飾り、高星にとってもGT500クラス初優勝となった。 
NDDP RACING CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)
NDDP RACING CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)

2022年第5戦

予選最後尾スタートとなったTEAM IMPULカルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)がセーフティカー導入と終盤のバトルを制しテール・トゥ・ウイン。その勢いのままシリーズチャンピオンを獲得し、Nissan Zにデビューイヤー王者をもたらした。 
TEAM IMPULカルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)
TEAM IMPULカルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)

2023年第3戦

NISMO MOTUL AUTECH Zの松田次生がレース59周目に130R過ぎのシケイン前でGT300クラスとの接触で大クラッシュし、車体は原形をとどめないほど大破。レースはそのまま赤旗終了となり、TGR TEAM WedsSport BANDOH WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)が7年ぶりのGT500クラス優勝を飾る。松田は両足の筋断裂、右手首を負傷して入院するも次のレースで脅威の復帰。 
TGR TEAM WedsSport BANDOH WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)
TGR TEAM WedsSport BANDOH WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)

2023年第5戦

Honda NSX-GT最後となった鈴鹿でARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)がポール・トゥ・ウイン。鈴鹿でのHondaの勝利は4年ぶりとなった。 
ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)
ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)

2024年第5戦

8月の第5戦鈴鹿が台風接近で延期となり、スーパーGT公式戦初の12月開催に変更。予選でTGR TEAM au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)がポールポジションを獲得して3ポイントを追加したことで決勝前にチャンピオンを確定。レースもポール・トゥ・ウインで制した。 
TGR TEAM au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)
TGR TEAM au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)

2025年第5戦

23号車NISMO MOTUL AUTECH Z(千代勝正/高星明誠)が予選2番手から逆転優勝。23号車としては2023年第1戦以来、2年4カ月ぶりの勝利となり、それまでのトヨタの連勝をストップ。23号車での千代/高星コンビの初優勝となった。 
NISMO MOTUL AUTECH Z(千代勝正/高星明誠)
NISMO MOTUL AUTECH Z(千代勝正/高星明誠)

※内容は予告なく変更となる場合がございます。
※使用している写真・イラストはイメージです。