今年のMFJグランプリは見逃せない!
世界で戦うスポット参戦勢を全日本トップライダーが迎え撃つ

10月24日(土)〜25日(日)に開催される2026年全日本ロードレース選手権最終戦『第58回MFJグランプリ スーパーバイクレース in 鈴鹿』。今年のJSB1000クラスには、高橋巧、浦本修充、渥美心、ジョン・マクフィーという豪華な顔ぶれがスポット参戦を予定している。鈴鹿8耐を沸かせたライダーたちが、今度は国内最高峰のスプリントレースで激突するこの一戦は、しばらく全日本の観戦から離れていたファンにも、ぜひ注目してほしい。
複数のライダーが交代しながら戦う8耐に対し、JSB1000ではひとりのライダーがスタートからチェッカーまでを走り切る。短い距離の中で順位を奪い合うだけに、予選の一発、スタート直後の位置取り、勝負どころでの仕掛けがいっそう重みを増す。8耐で声援を送ったライダーは、全日本の強豪を相手にどんな走りを見せてくれるだろうか。その楽しみを、それぞれの実績から探ってみたい。

鈴鹿8耐最多8勝。高橋巧がHondaのテストチームで挑む

まず注目したいのが、Honda HRC test teamから参戦する高橋巧だ。
国内外で数々の実績を残してきた高橋だが、鈴鹿における強さは別格と言える。今年7月の鈴鹿8耐ではHonda HRCの5連覇に貢献し、自身の最多優勝記録を通算8勝へと更新した。その際の会見で、MFJグランプリへの出場を希望していたが、念願叶い2年ぶりMFJグランプリ参戦となった。

長年にわたり鈴鹿で勝利を積み重ねてきた高橋は、8耐ファンにとってまさにおなじみの存在と言えるが、スプリントでも実績は十分。2017年にはJSB1000クラスのチャンピオンを獲得しており、王座を決めた舞台もここ、鈴鹿のMFJグランプリだった。

鈴鹿を知り尽くす8耐最多勝ライダーが、かつて頂点に立った全日本の舞台でどこまで速さを発揮するのか。得意の鈴鹿を舞台に、短距離の勝負でも主役を狙う。

高橋 巧/Honda HRC test team

高橋 巧/Honda HRC test team

高橋 巧/Honda HRC test team

高橋 巧/Honda HRC test team

世界へ飛び出した浦本修充が、再び全日本の舞台へ

BMWで勝負を挑むのがオートレース宇部 Racing Teamの浦本修充。
2016年に全日本J-GP2王者を獲得。その後は長年、スペイン選手権でも経験を重ねてきたライダーだ。昨年同チームに加入すると、もてぎ大会の2レースを制し年間ランキング3位を獲得。すでに国内最高峰で勝てることを証明している。

今季はチームとともにFIM世界耐久選手権(EWC)へフル参戦し、今年の鈴鹿8耐でも強烈な存在感を示した。雨の決勝でスタートを任された浦本は、9番手から一気に順位を上げ、1周目をトップで通過。海外メーカーのマシンがレースリーダーとして記録されるのは、鈴鹿8耐の歴史の中でも初めてであり、ホンダやヤマハのファクトリー勢を相手に先頭を走る姿は鮮烈な印象を残した。

世界耐久へと挑戦を続けるオートレース宇部 Racing Teamが、MFJグランプリのスプリントレースでどこまで上位に食い込むのか。その走りは、チームの現在地を示す大きな指標にもなるだろう。

浦本 修充/オートレース宇部 Racing Team

浦本 修充/オートレース宇部 Racing Team

浦本 修充/オートレース宇部 Racing Team

浦本 修充/オートレース宇部 Racing Team

ヨシムラの開発を担う渥美心。自身初のMFJ制覇を狙う

ヨシムラの走りを楽しみにしているファンには、Yoshimura SERT Motulの渥美心が気になるところだろう。長く全日本や8耐を見てきたファンにとって、ヨシムラのマシンがホンダ、ヤマハと競り合う光景には、やはり特別な魅力がある。

渥美は2019年の鈴鹿8耐でSSTクラス優勝を果たすと、海外でのレース活動を志願しEWCに戦いの場を移した。今季はチームのリザーブ兼開発ライダーとして世界耐久の強豪チームを支えつつ、兄弟チームであるJunior Team LMS Suzukiからル・マン24時間にも参戦。今年の8耐は6位に終わったものの、難しい雨のレースを走り切り、渥美自身もウエットでの走りに手応えを得たと振り返っている。

MFJグランプリには過去にもスポット参戦を果たしているが、最高位は4位と表彰台には届いていない。耐久で求められる安定感に、スプリントで順位を奪う鋭さをどう重ねるのか、注目したい。

渥美 心/Yoshimura SERT Motul

渥美 心/Yoshimura SERT Motul

渥美 心/Yoshimura SERT Motul

渥美 心/Yoshimura SERT Motul

Moto3™で4勝。ジョン・マクフィーが全日本に初上陸

そして、世界GPを追いかけてきたファンの視線を集めそうなのが、F.C.C. TSR Honda Franceのジョン・マクフィーだ。
スコットランド出身のマクフィーは、Moto3™世界選手権で通算4勝を挙げたグランプリウイナー。世界スーパースポーツ選手権や英国スーパーバイク選手権も経験し、今季はTSRの一員としてEWCを戦っている。

世界グランプリで培ったブレーキングと接近戦の強さ、英国スーパーバイクでも経験した大排気量マシン、さらにEWCで磨いたHonda CBR1000RR-Rへの理解。そのすべてを持ち込むマクフィーが、初めての全日本ロードレースでどのような存在感を示すのか。海外の実力者と日本のトップライダーが同じ条件で争うという、MFJグランプリ本来の醍醐味を感じさせる参戦となる。

ジョン・マクフィー/F.C.C. TSR Honda France

ジョン・マクフィー/F.C.C. TSR Honda France

ジョン・マクフィー/F.C.C. TSR Honda France

ジョン・マクフィー/F.C.C. TSR Honda France

迎え撃つのは初王者に王手をかける水野涼と、大逆転を狙う長島哲太、そして最後の鈴鹿に挑む中須賀克行

豪華なスポット参戦勢を迎え撃つ全日本勢では、今季圧倒的な走りを見せランキングトップに立つ水野涼(SDG DUCATI Team KAGAYAMA)が大きな壁となる。2017年、高橋巧がJSB1000王者となった同じ年に、水野は同じハルク・プロからJ-GP2に参戦し、タイトルを獲得していた。その水野が今年はドゥカティを駆り、初のJSB1000王座を懸けて最終戦に挑む。かつてのチームの先輩と後輩が、異なるメーカーを背負って真っ向から競う構図も興味深い。

水野涼/SDG DUCATI Team KAGAYAMA
水野涼/SDG DUCATI Team KAGAYAMA

その水野を今季もっとも追い詰めてきたのが、ランキング2位の長島哲太(DUNLOP Racing Team with YAHAGI)だ。3年計画で進めてきたDUNLOPとのタイヤ開発プロジェクトは最終年を迎えた。初年度はタイヤに苦しむ場面もあったが、今季は着実に戦闘力を高め、もてぎ大会では水野と最終周まで激しいバトルを展開。チーム初優勝までわずか0.1秒に迫った。

岡山大会を終えてもタイトル争いは決着せず、ポイント差は大きいが長島には鈴鹿での大逆転チャンピオンの可能性が残されている。開発3年間の集大成となる最終戦で、水野やスポット参戦勢を相手に勝利をつかみ、大逆転でシリーズ王者まで駆け上がることができるのか。長島とチームにとって、すべてを懸けた一戦となる。

長島哲太/DUNLOP Racing Team with YAHAGI
長島哲太/DUNLOP Racing Team with YAHAGI

さらに、今季限りで全日本ロードレースから引退する中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)との対決も外せない。高橋とは全日本でも鈴鹿8耐でも競い合ってきた間柄で、今回が全日本で相まみえる最後の機会となる。最後の鈴鹿で勝利を狙う中須賀が、水野と長島のタイトル争いにどのような影響を与えるのか。そこへ高橋、浦本、渥美、マクフィーという実力あるスポット参戦勢も加わり、最終戦の行方はさらに予測できないものとなる。

これほど多くの見どころが重なるMFJグランプリは、そう何度も訪れるものではない。
レギュラー勢とスポット参戦勢、それぞれの速さと譲れない意地が交わる一戦で、誰が主役となるのか。
予選から決勝まで目を離せない週末になりそうだ。

10月24日(土)〜25日(日)は鈴鹿で、お気に入りのライダーの勝負と、2026年シーズンが決着する瞬間を見届けてほしい。

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