鈴鹿サーキット モータースポーツライブラリー

F1日本グランプリレースレポートF1日本グランプリレースレポート
1997年
シューマッハとアーバイン。
フェラーリコンビの芸術的なチームプレイで、ビルヌーブのタイトル獲得を阻止!

優勝したシューマッハ(中央)と完ぺきなサポートを見せたアーバイン(右)

優勝したシューマッハ(中央)と完ぺきなサポートを見せたアーバイン(右)

ベネトンからフェラーリに移籍し、1996年はタイトル争いに絡めなかったミハエル・シューマッハだったが、低迷するチームの立て直しが徐々に進み、97年はウィリアムズ・ルノーのエース、ジャック・ビルヌーブとタイトル争いを演じた。第15戦日本グランプリを含めて残り2戦。ビルヌーブ77ポイント、シューマッハ68ポイントでその差は「9」。優勝すれば10ポイント獲得できるため、ビルヌーブはシューマッハより1ポイントでも多く稼げば、鈴鹿でチャンピオンが決まる状況だ。
ビルヌーブは予選で2年連続となるポール・ポジションを獲得し、一気にチャンピオンに近づいた。対するシューマッハは予選2位。しかしチームメイトが6位となり、一人で戦わなければいけないビルヌーブに対し、シューマッハはチームメイトのエディー・アーバインが3番グリッドを獲得し、チーム2台による作戦が可能なポジションにつけた。

トップを走るビルヌーブと、背後に迫るアーバイン

トップを走るビルヌーブと、背後に迫るアーバイン

決勝レーススタート。ビルヌーブは前年のスタートミスを帳消しにするかのように好スタート。シューマッハもそれに続いた。アーバインは1つ順位を落とし4番手。これではシューマッハをサポートできない。しかし2周目に信じられない光景が目に飛び込んできた。逆バンクでアーバインが3位ミカ・ハッキネン(マクラーレン・メルセデス)のアウトに並ぶと、そのままシューマッハも抜いて2位に浮上したのだ。アーバインを前に出すためにハッキネンを牽制したシューマッハとの、絶妙のタイミングで息を合わせた作戦が成功したのだ。アーバインはその勢いのまま3周目にトップに浮上。2位になったビルヌーブはシューマッハを押さえる作戦に変更したが、ピットインのタイミングで3位に転落。シューマッハが2位に上がったことにより、トップのアーバインはペースダウンしてシューマッハを前に出し、今度はビルヌーブを押さえる役目にまわった。

優勝したシューマッハ

優勝したシューマッハ

これでビルヌーブはペースを乱し、ハッキネンとチームメイトのハインツ・ハラルド・フィレンツェンにも先行を許してしまう結果に。シューマッハとアーバインによる芸術的なチームプレイがこれで完成。互いが最高の技術を持ち、完全に信頼し合った関係でなければ成し遂げられないこの2人のチームプレイは、今でも語り続けられる走りとなった。最終的にシューマッハはアーバインを抜いて追い上げてきたフィレンツェンも振り切り、見事トップチェッカー。ビルヌーブは5位に終わり、さらには後日失格の裁定を受けランキングは逆転。シューマッハ1ポイントリードで最終戦を迎えることになった。
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