GTファンなら見逃せない。世界のGT3が集結する「鈴鹿1000km」の魅力とは

SUPER GTとはまた一味違う耐久対決の魅力を紹介

今年も伝統の鈴鹿1000kmがやってくる。開催は9月11日(金)~13日(日)。世界中のGT3マシンが夏の鈴鹿サーキットに集い、これまで数々の名勝負が繰り広げられてきたレーシングコースを舞台に火花を散らす。

 鈴鹿1000kmの第1回大会は1966年、60年前に開催された。以降、自動車メーカーの技術力を競う場として年を追うごとに発展し、グループC(1980~90年代にかけて存在したプロトタイプカーのカテゴリ)、JGTC(全日本GT選手権)、SUPER GTと、時代ごとに異なるカテゴリーが戦いを繰り広げ、鈴鹿サーキットの4輪サマーエンデュランスレースとして恒例の大会となった。2018・2019年は『鈴鹿10時間耐久レース』として開催され、2025年に再び『鈴鹿1000km』として復活。今年は節目となるサマーエンデュランス第50回記念大会として、ふたたび世界の強豪が鈴鹿に集結する。
 現在このレースは、世界各地の著名サーキットを巡るGT3シリーズ『IGTC(インターコンチネンタルGTチャレンジ)』の一戦として開催されている。参戦チームはヨーロッパ、アジア、オセアニアなど多岐にわたり、各メーカーの支援を受けた有力チームが耐久レースの頂点を目指す。参戦マシンはメルセデスAMG、BMW、アウディ、ポルシェ、フェラーリ、シボレー、ニッサン、レクサスなど、世界の名だたる自動車メーカーが誇るGT3マシンばかりだ。
 2025年大会には33台がエントリーし、各メーカーのワークスドライバーを擁する強豪チームが集結。そのなかには日本勢も10台が名を連ねた。今年の参戦体制はまだ発表されていないものの、SUPER GT GT300クラスで活躍するチームの参戦も期待されており、世界のワークスドライバーと日本勢によるGT3対決が大きな見どころとなりそうだ。
 IGTCの参戦車両はすべてFIA GT3規定のマシン。ドライバーは各チーム2~3名で登録され、それぞれの実績や経歴に基づき、プロ、プロ・アマ、シルバー、ブロンズといった区分に分類される。それに応じて参戦クラスも決まり、プロのみで構成される最上位クラスからアマチュア主体のクラスまで、幅広い戦いが同時に展開される。
 ここで気になるのが、日本のファンにとって馴染み深いSUPER GTとの違いだ。最大のポイントは、使用タイヤとレースフォーマットにある。SUPER GTのGT300クラスにもFIA GT3マシンは参戦しているが、IGTCの使用タイヤはピレリのワンメイク。そのためSUPER GTのようなタイヤメーカー同士の開発競争や駆け引きは存在しない。
 さらに予選は3人のドライバーの平均タイムで順位を決定する独自方式を採用。決勝レースは、その名のとおり長距離戦であり、近年のSUPER GTで主流となっている300kmレースと比べても3倍以上の距離を戦う過酷なレースとなる。*
*鈴鹿1000km決勝は、レース距離1000kmの走破時間を目安とした6時間30分のタイムレースとして実施される。
 IGTCでは、各マシンの性能差を世界のGT3シリーズを統括するSROが定めるBoP(性能調整)によって均等化している。そのため決勝では、ドライバーの安定したレースペースとチームの戦略力が勝敗を大きく左右する。ピットインのタイミング、燃料計算、タイヤマネジメントなど、耐久レースならではの読み合いも見逃せない。
 SUPER GTファンにおすすめしたい注目ポイントは、大きく3つある。
 ひとつ目は、GT3ならではの多彩な車種の競演だ。同じGT3マシンでも車両特性は大きく異なり、ストレートスピードに優れる車、コーナリング性能で勝負する車など、それぞれに個性がある。鈴鹿サーキットレーシングコースを各マシンがどのように攻略するのか、とくにS字コーナーやスプーンカーブでのライン取りの違いには特徴が表れやすいため、ぜひ注目して観戦してほしい。
 ふたつ目は、長時間レースならではのドラマだ。スタート直後の激しいポジション争いはもちろん、気温や路面コンディションの変化、セーフティカー導入による戦略の揺らぎなど、1000kmに及ぶ長距離戦では予測困難な展開が次々と訪れる。
 また、昼の強い日差しから夕暮れの逆光、そして夜間のヘッドライトが描く光跡へと、時間帯によってサーキットの表情が大きく変化するのも魅力のひとつ。加えて、レース展開を左右する給油やタイヤ交換、ドライバー交代といったピット作業の緊張感も、耐久レースならではの醍醐味といえる。
 そして3つ目は、世界戦ならではの空気感だ。海外チームのガレージの雰囲気や、各国のワークスドライバーが集う緊張感は、国内シリーズにはない魅力がある。同時に、それら世界トップクラスのドライバーたちが見せる走りも見どころだ。GTワークスドライバーの安定したラップタイム、アマチュアドライバーがプレッシャーの中で挑む集中力、そして日本勢が世界の強豪に挑む姿が同じ舞台で繰り広げられることこそ、このレースならではの大きな魅力だろう。
 第50回という節目を迎える今年の鈴鹿1000km。世界のGTレースが持つ奥深さと、鈴鹿サーキットが育んできた伝統が交わる特別な3日間になる。世界最高峰のGT3耐久レースの魅力を、ぜひ現地で体感してほしい。

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