- 1995年 Vol.1
- シューマッハ新時代。刻々と変わる路面状況をものともせず、
圧巻の走りでポール・トゥ・ウィン!

完璧な走りで優勝したシューマッハ
1994年苦しみながらも初めてのドライバーズタイトルを獲得したミハエル・シューマッハ(ベネトン・ルノー)は、翌95年、今度は王者の風格を漂わせる堂々の走りを披露した。前年同様デイモン・ヒル(ウィリアムズ・ルノー)との争いとなったが、これを寄せ付けず、すでに第15戦パシフィックグランプリ(TIサーキット英田)でチャンピオンを決めていた。残りは鈴鹿も含めて2戦、第16戦日本グランプリはベネトンのチーム初となるコンストラクターズチャンピオンがかかるレースとなった。前年はシューマッハがタイトルを獲得したものの、コンストラクターチャンピオンはウィリアムズに奪われていた。チームは悲願のタイトルに向けて一丸となった。

- 決勝日のグランドスタンド

- チーム監督と情報交換する
シューマッハ(左)

- 決勝レース前のダミーグリッドの様子
チームのために全力で鈴鹿に挑んだシューマッハは、予選で2位ジャン・アレジ(フェラーリ)を0.8秒も引き離すタイムでPP(ポール・ポジション)を獲得。ウェットコンディションとなった決勝レースもスタートを決め、トップを快走した。

- 決勝レーススタート。シューマッハ
(手前右)はPPから好スタート

- 徐々に乾く難しい路面コンディションの中を走行するシューマッハ

- トップチェッカーフラッグを
くぐり抜けたシューマッハ
後ろから迫るアレジはトラブルでリタイヤ、コンストラクターズチャンピオンを争うウィリアムズ勢は、徐々に乾く難しい路面コンディションに翻弄され、何度もコースアウトを喫し、最終的にリタイヤした。この時点でベネトンチーム悲願のコンストラクターズチャンピオンが決定、ドライバーズとのダブルタイトル獲得となった。その後もコースアウトするマシンが続出。荒れた展開となる中、シューマッハだけは違った。路面がどのように変化しようとも速く、正確なドライビングを続け、後続を大きく引き離してこの年9勝目のチェッカーフラッグ。95年シーズンを席巻した走りを鈴鹿でも見せ付けたのだ。その完ぺきな走りは、今でも語り継がれるものとなっている。
- 1995年 Vol.2
- ジャン・アレジ、ペナルティから怒涛の追い上げで2位浮上!

シケインを駆け抜けるアレジ
ベネトンとウィリアムズのルノーエンジン勢が予選を圧巻した1995年シーズンだったが、日本グランプリ予選でジャン・アレジ(フェラーリ)がスーパーラップを刻み、ミハエル・シューマッハ(ベネトン・ルノー)に次ぐ2番グリッドを獲得。日本でも人気の高いアレジの活躍に、サーキットは大きく沸いた。

- 予選でモニターを見つめながら
自分の出番を待つアレジ

- 予選2番手のタイムを記録した
アレジの走り
決勝レースもスタートを決め、前を行くシューマッハを追った。しかしジャンプスタートの判定。グリーンランプが灯る前にマシンが少し動いてしまったのだ。10秒ピットストップをこなし、ほぼ最後尾でレースに復帰したアレジだったが、ここで勝負に出た。誰よりも早くドライタイヤに交換したのだ。まだ路面は濡れており、少しラインを外すとマシンは一気に滑ってしまう。アレジも一度コースアウトした。それでも誰よりも速いラップタイムを刻んだ。トップグループがドライタイヤへの交換を終えるとアレジはそのすぐ後ろに迫り、10周目のシケインでデイモン・ヒル(ウィリアムズ・ルノー)を豪快に抜いて2位浮上。前を行くのはシューマッハだけとなった。1周1秒近く速いペースでトップを追うアレジ。2台の差はあっという間に縮まった。

- 決勝レーススタート前に緊張の
表情をみせるアレジ

- シューマッハ(手前)を追うアレジ
サーキット中のファンがアレジの走りに注目していたが、25周目に異変が起きた。アレジのフェラーリが一気にスローダウン、トラブルでマシンをコースわきに止めたのだ。静まり返るサーキット。しかしアレジがマシンから降り手を振ると、それまでの走りを称え大きな拍手が巻き起こった。難しい路面で誰よりも速く走り、王者シューマッハを追い詰めた走りは今でも語り継がれている。
