8耐初参戦のレイニーが見事なパフォーマンスを発揮。ポールポジションを獲得すると、レース終盤ではライトが点灯しないというトラブルに見舞われるが、それ以外ではパートナーのマギーとともに、まったく危なげない走りを見せ、ロバーツ監督に優勝をプレゼントした。優勝候補筆頭のガードナー/マッケンジーは、105周目に転倒。前年に監督として8耐を制覇した平は、ドゥーハンとペアを組んで出場したが、残り11分となったところでマシントラブルが発生。またしても女神に見離されることになった。また、2位にはシュワンツ/ポーレンが、3位にはサミン/モリラスが入った。
トップ争いを演じていたガードナー/ドゥーハンとレイニー/マギー。ドゥーハンの速いペースにジリジリと引き離されるレイニー/マギーだったが、100周を目前にしてマシンからオイルが漏れはじめてしまい、両チームの戦いはここで決着となった。しかし、トップを快走するドゥーハンがスタートから5時間が経過しようとしたときに周回遅れと接触して転倒、リタイアしてしまう。これで、トップはD.サロン/ビエラとなり、これを平/コシンスキーが追うが、平/コシンスキーは、その後にマシントラブルでリタイア。D.サロン/ビエラに続いて、日本人ペアの宮崎/大島が2位のチェッカーを受けた。
ガードナー/ドゥーハン、平/ローソンと、世界を代表するライダーの戦いとなったが、予選からこの2チームは激しい火花を散らし、僅差でポールポジションはガードナー/ドゥーハンが獲得する。レースでは、2周目にドゥーハンがトップに立つ。しかし、ライダー交代したガードナーが、独走態勢に入りながら40周目に転倒。これで、ローソンがトップに立つが、その後、ガードナー/ドゥーハンがすさまじい追い上げで、91周目には2位に再浮上するが、102周目にガス欠でレースを終える。その後、平/ローソンは安定したペースで走り切り、平は悲願の8耐制覇達成。2位には、2年連続で宮崎/大島が入った。
決勝日前日から降り続く雨によってコースは完全なウエット。こうした状況下でレースはスタートしたが、なんと午後2時過ぎに、サーキットは暗雲に包まれてしまい異例のライトオンのサインが提示される。
その後も、天候は目まぐるしく変化したが、常に安定し、さらに勝負ポイントを見逃さない走りに徹したガードナー/ドゥーハンとマギー/チャンドラーの2チームに優勝は絞られる。しかし、トップを走っていたマギーが145周目の逆バンクで転倒してしまい、これでガードナー/ドゥーハンが首位を奪取すると、そのままチェッカーを受け、マギー/チャンドラーは2位でレースを終えることになった。
ボールドウィンとともに8耐史上最多の3勝をマークし、8耐の中心ライダーとなっていたガードナーが、レース前に8耐引退を表明。ドゥーハンのケガにより、急遽、ガードナーのパートナーがビーティーとなり、予選は5番手だった。しかし、レースではガードナー、ビーティーともに絶好調で、周回を重ねる毎に後続を引き離していく。そしてレース終盤、ガードナー/ビーティーはガス欠を心配して予定外のピットインをするが、この間に伊藤/辻本に詰め寄られてしまう。だが、伊藤はチェッカーまで残り約25分となったヘアピンカーブで痛恨の転倒。これで、ガードナーは8耐引退レースを、最多の4勝をマークするという形で飾った。
長年、採用されてきたTT-F1マシンレギュレーションの最終年。予選2日目が雨となったため、予選初日のタイムが、そのままグリッドを決定するものとなり、ドゥーハン/ビーティがポールポジションを獲得。
レースはドライ路面で始まり、ラッセル、武石、ローソンが首位争いを展開。しかし、ローソンが逆バンクで転倒し、再スタートするものの順位を落とす。そして首位に立ったドゥーハンだったが、88周目に転倒して脱落。代わって、ラッセルがトップとなり、武石、藤原/永井が追うが、その後、武石、藤原/永井ともにマシントラブルが発生し、ラッセル/スライトのカワサキが初めて8耐の勝者となった。
この年から、マシンは従来のTT-F1からスーパーバイクのレギュレーションとなった。また、計時予選に加え、最終的なスターティンググリッドはスペシャルステージでのタイムによって決まるという方式が採用され、最初のポールシッターはラッセル/ライマーとなった。レースは、スタートから約30分後、200Rでトップグループの多重クラッシュが発生して赤旗中断の波瀾。8耐史上初の2ヒート制が導入されたが、その第2ヒートでは、チェッカーまでラッセル/ライマーとポーレン/スライトがデッドヒートを展開。僅差で先にチェッカーを受けたポーレン/スライトが総合優勝を遂げた。
レースがスタートすると、すぐにスライト/岡田、武石/宇川、伊藤/辻本、青木拓磨/ヘイルの、ホンダ1-2-3-4フォーメーションができる。しかし、その後に武石、ヘイルが転倒によりトップ集団から脱落し、スライト/岡田と伊藤/辻本のマッチレースへと発展する。この2チームによる、スプリントレースさながらの緊迫した首位攻防戦はレース終盤まで続いたが、周回遅れを的確にパスしながら2分12秒台をコンスタントにマークする岡田の力走が勝敗を分ける形で、ジワジワと伊藤/辻本とのマージンを築いて優勝。パートナーのスライトは、史上初の8耐3連覇を達成した。
4台のワークスマシンを投入し、必勝体制を築いたホンダだったが、なんと各チームが1回の転倒を喫する誤算が生じ、ホンダ勢の最上位はフォガティ/青木拓磨の3位だった。一方、トップを快走したのはエドワーズ/芳賀のヤングペアで、柳川/武石、ゴバート/クラファーがこれに続く。しかし、レース終盤で柳川/武石はマシントラブルに見舞われてポジションダウン。ゴバート/クラファーは、夜間走行になってもまったくスピードが落ちない芳賀の走りについていけずに2位。優勝したエドワーズ/芳賀は史上最年少ペアでの優勝記録を樹立し、同時に214周の最多ラップ記録をも打ち立てた。
迷走する台風の影響を受けて、土曜日に予定されていたスペシャルステージは中止となり、金曜日の予選結果によってスターティンググリッドが決定。レースも雨が降り続くなかでスタートが切られたが、気温も24℃と、記録的な寒さの中での戦いとなった。
レースはセオリー通りの戦いを演じた伊藤/宇川が、淡々と8時間を走り切って、フルタイムを戦った8耐で、初めての日本人ペアによる優勝となった。2位には、唯一、伊藤/宇川と同一ラップのコシンスキー/バロスが入ったが、コシンスキーを襲ったレース序盤でのトラブルが、最後まで響いた形となった。