鈴鹿サーキット モータースポーツライブラリー

F1日本グランプリレースレポートF1日本グランプリレースレポート
2004年
トラブルを抱えながらもアロンソ、ライコネンの追い上げを振り切った琢磨が4位入賞

ファンの声援に応える琢磨

ファンの声援に応える琢磨

2004年は佐藤琢磨がF1でもっとも成功した年だった。第3戦でB・A・R Hondaのチームメイト、ジェンソン・バトンの前となる5番グリッドを獲得すると、決勝でもアグレッシブな走りを見せて5位入賞。第5戦では3番グリッドを獲得、第7戦ではついにフロントロー、2番グリッド獲得と絶好調。そして第9戦アメリカGPでは3番グリッドから途中ピットイン作戦のミスで順位を落とすものの、見事に挽回し自身初、日本人としては2人目となる3位表彰台を獲得した。次は2位、いや日本人初優勝。そんな期待が高まる中、第17戦日本グランプリを迎えた。
台風の影響で土曜日のスケジュールがキャンセルとなり、F1史上初めて日曜日に予選と決勝が行われることになった。そんな中、琢磨はシケインで姿勢を乱しながらも4番グリッドを獲得。前にいるのはミハエル(フェラーリ)とラルフ(ウィリアムズ・BMW)のシューマッハ兄弟。そしてマーク・ウェバー(ジャガー・コスワース)のみ。一番のライバルとも言えるチームメイトのバトンはすぐ後ろの5番グリッドを獲得していた。
決勝レーススタート前の緊張の一瞬
決勝レーススタート前の緊張の一瞬
決勝レーススタート
決勝レーススタート
佐藤琢磨の走り
佐藤琢磨の走り
決勝レーススタート。前のウェバーが出遅れたものの、バトンが好スタートを決め琢磨は4位のまま。しかし7周目のS字でバトンを抜いて3位に浮上。2ストップ作戦のバトンと3ストップ作戦の琢磨。最終的に2ストップ作戦が有利に働きバトンが3位でチェッカーを受けたが、レース中盤まで2人は激しいチームメイトバトルを繰り広げていた。
終盤、琢磨の敵は後ろから追い上げを図るフェルナンド・アロンソ(ルノー)とキミ・ライコネン(マクラーレン・メルセデス)となった。ともにのちのチャンピオンとなったこの2人。2004年シーズンは何度も表彰台に登り、ライコネンは1勝を挙げていた。日本グランプリは予選でつまずき、それぞれ11・12番グリッドからのスタートとなったが、世界屈指のテクニカルコース鈴鹿ですばらしいレース運びを見せ、5・6位に浮上。前を行く琢磨を追っていたのだ。

ファンの声援を受け、見事4位入賞

ファンの声援を受け、見事4位入賞

実はこの時、琢磨はHANSデバイスのトラブルが発生し、時おり片手でヘルメットを押さえて走行する事態となっていた。ラップタイムが安定しない。サーキットに詰めかけたファンはそんな琢磨に対し、精いっぱいの声援を送った。その声援に応えるかのように琢磨は力走を見せ、後ろから迫るアロンソとライコネンの追い上げを振り切った。デビュー以来、鈴鹿3戦連続入賞、そして鈴鹿最高位となる4位でチェッカー。トラブルを抱えながらも自力で4位をもぎ取った琢磨の走りは、今でも語り継がれている。
4位でチェッカーを受けた琢磨
4位でチェッカーを受けた琢磨
ウィニングランでファンに手を振る琢磨
ウィニングランでファンに手を振る琢磨
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