スーパーフォーミュラ最終戦 JAF鈴鹿グランプリ

スーパーフォーミュラの高クオリティの象徴的存在、世界への扉を開いた歴史的名マシン『SF14』が鈴鹿でラストレース

『SF14』が鈴鹿でラストレース 『SF14』が鈴鹿でラストレース
 チャンピオン争いのゆくえはもちろん、250km/1レース制で実施される最終戦自体の優勝争いがどうなるかなどなど、注目ポイントが数多くある2018年スーパーフォーミュラ最終戦「第17回JAF鈴鹿グランプリ」。

 このレースにはもうひとつ忘れてはいけない要素がある。大きな歴史的節目として、2014年から5シーズンに渡って使用されてきたワンメイクマシン、名車の誉れも高い「SF14」がその役目を終える一戦となるのだ。

 日本のトップフォーミュラ王道シリーズのマシン(シャシー)の歴史を簡単に振り返ってみると、F2やF3000の時代、そして1990年代後半のフォーミュラ・ニッポン草創期までは複数社による競合供給を基本とする状態だった。

 1999〜2002年は当時のレイナード社製が圧倒的優勢を誇り、実質ワンメイク化が進んだ。そして、2003年からはコスト抑制等も踏まえた正式なワンメイク時代が始まることになり、ローラ社製の新型ワンメイクシャシーがスタンバイされた。同じ道具でチーム、ドライバーがより高度なセッティング術を競う僅差攻防の時代が本格到来することになった、そう言いかえてもいいだろう。

 2003〜2005年、続く2006〜2008年と、2代続けてローラ社製シャシーが用いられたのち、2009〜2013年は米国スウィフト社製が使用された。いずれも高性能なマシンだったが、特に2009〜2013年のSF13(旧名:FN09)は、フォーミュラ・ニッポン〜スーパーフォーミュラの速度次元を本当の意味で「準F1級」ともいうべきところへと押し上げる役割を果たし、その斬新なスタイリングでも大きな話題を集めることになった。

 そのあとを受け、2014年から現役の座にあるのがイタリア・ダラーラ社の手によるSF14だ。

 量産レーシングカー製作社としては世界最大手と言えるダラーラは、SF14の開発にあたって最先端の空力トレンドをF1等から取り入れつつ、シリーズ側の企図した「クイック&ライト」というコンセプトをしっかり実現した。

 スーパーフォーミュラのラップタイム自体は、SF13(FN09)の時点で相当なハイレベルにあった。SF14導入時からはエンジンの燃料流量の制限やタイヤ供給メーカーの変更などがあり、一概に過去のシャシーとタイムだけを比較はできないが、軽さと素直さが特徴のSF14のコーナリング能力は準F1級というよりも「純F1級」と呼ぶのが相応しい性質の速さに昇華したのである。
軽さと素直さが特徴 SF14のコーナリング能力は「純F1級」 軽さと素直さが特徴
SF14のコーナリング能力は「純F1級」
 シャシーとの相性で重要なタイヤ面では、SF14の"任期中"にはワンメイクタイヤがブリヂストン製(〜2015年)からヨコハマ製(2016年〜)にかわる重大なタイミングも含まれていた。その大変更も、SF14という優秀なシャシーが大前提として存在していたことが円滑な移行に寄与した面があった。

 そしてSF14の心臓部、NRE(日本レースエンジン)もまた、時代の要請に応えた素晴らしいエンジンだ。HondaとTOYOTAが競って開発する直噴2ℓ直列4気筒ターボは、コンパクトかつハイパワー、さらには環境性能も意識した設計思想が貫かれている。

 その象徴が燃料流量リストリクターという機構であり、現在のスーパーフォーミュラではこれまで以上に効率を意識したエンジン開発競争が両社によって展開されているのだ。また"燃リス"は、これも従来以上に効果的なオーバーテイクシステム(OTS)の構築・運用にも役立っている。
『SF14』の心臓部、コンパクトかつハイパワー環境性能も意識した設計思想のエンジンを採用 『SF14』の心臓部、コンパクトかつハイパワー
環境性能も意識した設計思想のエンジンを採用
 今季までの5シーズン、SF14というハイスピードで安全で素直な挙動を見せるシャシーがあったおかげでレースが活性化したのはもちろんだが、スーパーフォーミュラという"フィールド"が一層活気づいたことも同車の見逃せない貢献だ。

 近年、海外から今まで以上に多くの有力ドライバーがスーパーフォーミュラに参戦するようになった。F1へのステップアップを目指す選手にとっても、今、これほどいい準備ができるカテゴリー(マシン)は他にないのである。

『クイック&ライト』のコンセプトで製作されたSF14の速さと安全面のパフォーマンスだけでなく、20台近いシャシーの個体差の少ない管理&製造面でのクオリティ、剛性面や信頼性の高さも世界に知れわたった。そして、多くの海外ドライバーが余計なハンデを心配することなく参戦を希望し、テストで好結果をマークしてレギュラーシート獲得へとつなげて行ったのだ。まさに、SF14が海外への門戸を大きく開いたと言っても過言ではない。

 その象徴的な存在は今季のF1でトロロッソ・Hondaを駆って活躍中、来季は新生レッドブル・Hondaへの昇格が決まっているピエール・ガスリーだ。

 2016年にGP2(現FIA-F2)王者になったガスリーは、翌年スーパーフォーミュラでさらに腕を磨き(シリーズ2位)、F1レギュラーへの最後の扉を開いた。彼のようなドライバーの存在が日本の強豪や若手を大いに刺激し、バトルの質はさらに高まる、そしてより良い評判が世界を飛び交う、という好循環が生まれたのもSF14があったからこそ。

 来季2019年は、SF14の正統後継機といえるニューマシン、SF19(ダラーラ社製)へと切りかわる。クイック&ライトのコンセプトをさらに突き進めたマシンでの新時代が楽しみだが、その前に、近代モータースポーツ史に残る名車とも評せるSF14が現役マシンとして実戦のコースで見せる最後の勇姿に注目したい。スーパーフォーミュラをさらに興隆させた功労車に、最大限の敬意をはらいつつ…。
       
近代モータースポーツ史に残る名車『SF14』 鈴鹿のラストランに注目 近代モータースポーツ史に残る名車『SF14』
鈴鹿のラストランに注目

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