F1

Hondaの終わりなき挑戦⑫

ハンガリーGP決勝のスターティンググリッドでレッドブル・ホンダチームを見つめるHondaの山本F1マネージングディレクター。

ハンガリーGP決勝のスターティンググリッドでレッドブル・ホンダチームを見つめるHondaの山本F1マネージングディレクター。

今年のハンガリーGPが開幕した8月2日は、Hondaにとって忘れられない日だった。55年前の1964年に初めてF1のレースを戦った日だからだ。F1への参戦を宣言したのは、創業者の本田宗一郎だ。 当時、Hondaはオートバイのマン島TTレースで完全優勝を達成し、二輪メーカーとしては世界的にも知られた存在だったが、四輪は1963年に発売を開始したばかり。手探りの中での挑戦だった。

55年前、1964年の8月2日はHondaが初めてF1に出場した記念日。その時の写真が、Hondaのモーターホームに飾られていた。

55年前、1964年の8月2日はHondaが初めてF1に出場した記念日。その時の写真が、Hondaのモーターホームに飾られていた。

「Hondaが四輪メーカーとして世界に挑戦することで、世界中の人々にクルマに乗る楽しみを知ってもらおうということが、本田宗一郎さんの原点にあったと思います。そのためには、会社をある程度の規模にしなければならないし、そこで働く人も強くしなければならないという思いで、F1を始めたのだと思っています」と語るのは、HondaF1のマネージングディレクターを務める山本雅史だ。Hondaには本田宗一郎の教えが書かれた多くの書物がある。「いまも何かあれば、読み返す」と山本は語る。
本田宗一郎の挑戦から始まり、いまでは世界中で二輪・四輪・汎用機械も含めて年間約3200万人の人々がHonda製の商品を買っている。

自身初のポールポジション獲得となったマックス・フェルスタッペン。決勝では惜しくも2位だったが、無敵と思われたメルセデスのルイス・ハミルトンと互角の戦いを繰り広げ、後半戦に期待の持てるレースとなった

自身初のポールポジション獲得となったマックス・フェルスタッペン。決勝では惜しくも2位だったが、無敵と思われたメルセデスのルイス・ハミルトンと互角の戦いを繰り広げ、後半戦に期待の持てるレースとなった

ハンガリーGPではレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが、予選でポールポジション(PP)を獲得。フェルスタッペンにとってはF1での予選93回目にして、初のPP。またオランダ人ドライバーとしてもF1で初めてのPPだった。レースでは惜しくも2位に終わったが、レース後、Hondaのスタッフが多くの海外のファンから祝福を受ける光景がパドックで見られた。
HondaF1でテクニカルディレクターを務める田辺豊治は、1980年代からHondaのF1活動に携わっている。

スターティンググリッドのマックス・フェルスタッペンのマシンをチェックする田辺テクニカルディレクター。これまでF1に挑戦してきたHondaの先輩に感謝しつつ、新たな伝統と歴史を作っていく意気込みを語ってくれた

スターティンググリッドのマックス・フェルスタッペンのマシンをチェックする田辺テクニカルディレクター。これまでF1に挑戦してきたHondaの先輩に感謝しつつ、新たな伝統と歴史を作っていく意気込みを語ってくれた

「いま我々がF1活動をやっていられるのは、当時、本田宗一郎さんが『F1へ行くぞ』と言って、この世界に挑戦してくれたからです。あの挑戦がなければ、現在の我々はなかったかもしれない。当時挑戦してくださった先輩方に感謝していますし、彼らが築いてきた伝統を守りつつ、さらに良い歴史が作れるようこれからも努力していきたいと思います」
ハンガリーGPでHondaのパワーユニットでポールポジションを獲得したフェルスタッペン。F1史上100人目の記念すべきポールシッターだった。

ドライバーポイント(第12戦終了時点)

順位 ドライバー チーム ポイント
1 ルイス・ハミルトン メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 250
2 バルテリ・ボッタス メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 188
3 マックス・フェルスタッペン アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 181
4 セバスチャン・ベッテル スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 156
5 シャルル・ルクレール スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 132
6 ピエール・ガスリー アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 63
7 カルロス・サインツJr. マクラーレンF1チーム 58
8 ダニール・クビアト レッドブル・トロロッソ・ホンダ 31
9 キミ・ライコネン アルファロメオ・レーシング 27
10 ランド・ノリス マクラーレンF1チーム 24
11 ダニエル・リカルド ルノーF1チーム 22
12 ランス・ストロール レーシングポイント 18
13 ケビン・マグヌッセン リッチエナジー・ハースF1チーム 18
14 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノーF1チーム 17
15 アレクサンダー・アルボン レッドブル・トロロッソ・ホンダ 16
16 セルジオ・ペレス レーシングポイント 13
17 ロマン・グロージャン リッチエナジー・ハースF1チーム 8
18 アントニオ・ジョヴィナッツィ アルファロメオ・レーシング 1
19 ロバート・クビサ ウイリアムズ・レーシング 1
20 ジョージ・ラッセル ウイリアムズ・レーシング 0

コンストラクターポイント(第12戦終了時点)

順位 チーム ポイント
1 メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 438
2 スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 288
3 アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 244
4 マクラーレンF1チーム 82
5 レッドブル・トロロッソ・ホンダ 43
6 ルノーF1チーム 39
7 レーシングポイント 32
8 リッチエナジー・ハースF1チーム 31
9 アルファロメオ・レーシング 26
10 ウイリアムズ・レーシング 1

Hondaの終わりなき挑戦⑪

ドイツGPでは、HondaのPU搭載マシン2台が表彰台を獲得

ドイツGPでは、HondaのPU搭載マシン2台が表彰台を獲得

Hondaが第9戦オーストリアGPに続いて、第11戦ドイツGPでも優勝した。
Hondaにとって、今季4度目の表彰台。それでも、表彰台の下に集まったHondaのスタッフたちは、こみ上げるものを感じていた。それは、この日の表彰台には、優勝したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とともに、3位でフィニッシュしたトロロッソのダニール・クビアトが登壇していたからだった。

Red Bull Hondaのフェルスタッペンが優勝、クビアトが3位

Red Bull Hondaのフェルスタッペンが優勝、クビアトが3位

Hondaの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、次のように語る。
「HondaがトロロッソにPUを供給するようになった2018年シーズンから、私はHondaF1のテクニカルディレクターとして、ここにやってきました。トロロッソとともにいろいろと準備をし、レースを学び、一緒に成長させてもらいました。昨年、われわれを正しい成功の道へと引き戻す助けになってくれたのは、トロロッソです。彼らがいなければ、現在のレッドブルとの関係もなかった。もちろん、マックス(・フェルスタッペン)の優勝はうれしいです。でも、それにまったく劣らない、あるいはそれ以上に、今回トロロッソが表彰台を獲得してくれたことをうれしく思っています」

喜びを爆発させるRed Bull Honda

喜びを爆発させるRed Bull Honda

トロロッソが表彰台を獲得したのは、2008年の第14戦イタリアGP以来、11年ぶり2度目のこと。その快挙をトロロッソとともに成し遂げたのが、Hondaだった。
Hondaのパワーユニットを搭載した2つのチームに所属するドライバーが2人登壇した表彰台の下には、レッドブルで仕事するHondaのエンジニアとともに、トロロッソと一緒にレースするHondaのスタッフも駆けつけ、お互いの健闘を讃え、喜び合った。

ホンダのF1史に新たな1ページが刻まれた

HondaのF1史に新たな1ページが刻まれた

Honda・エンジンを搭載する2チームが共に表彰台を獲得したのは、1988年の最終戦オーストラリアGPでマクラーレン・ホンダの2台が1-2フィニッシュし、ロータス・ホンダに乗るネルソン・ピケが3位に入って以来、31年ぶりの快挙。HondaのF1史にまた新たな1ページが加わった。

ドライバーポイント(第11戦終了時点)

順位 ドライバー チーム ポイント
1 ルイス・ハミルトン メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 225
2 バルテリ・ボッタス メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 184
3 マックス・フェルスタッペン アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 162
4 セバスチャン・ベッテル スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 141
5 シャルル・ルクレール スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 120
6 ピエール・ガスリー アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 55
7 カルロス・サインツJr. マクラーレンF1チーム 48
8 ダニール・クビアト レッドブル・トロロッソ・ホンダ 27
9 キミ・ライコネン アルファロメオ・レーシング 25
10 ランド・ノリス マクラーレンF1チーム 22
11 ダニエル・リカルド ルノーF1チーム 22
12 ランス・ストロール レーシングポイント 18
13 ケビン・マグヌッセン リッチエナジー・ハースF1チーム 18
14 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノーF1チーム 17
15 アレクサンダー・アルボン レッドブル・トロロッソ・ホンダ 15
16 セルジオ・ペレス レーシングポイント 13
17 ロマン・グロージャン リッチエナジー・ハースF1チーム 8
18 アントニオ・ジョヴィナッツィ アルファロメオ・レーシング 1
19 ロバート・クビサ ウイリアムズ・レーシング 1
20 ジョージ・ラッセル ウイリアムズ・レーシング 0

コンストラクターポイント(第11戦終了時点)

順位 チーム ポイント
1 メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 409
2 スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 261
3 アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 217
4 マクラーレンF1チーム 70
5 レッドブル・トロロッソ・ホンダ 42
6 ルノーF1チーム 39
7 レーシングポイント 31
8 リッチエナジー・ハースF1チーム 26
9 アルファロメオ・レーシング 26
10 ウイリアムズ・レーシング 1

Hondaの終わりなき挑戦⑩

第10戦イギリスGPでも進化した力強い走りを見せたHonda PU勢。今回はその数日前のイギリスでのストーリー

第10戦イギリスGPでも進化した力強い走りを見せたHonda PU勢。今回はその数日前のイギリスでのストーリー

2006年以来、13年ぶりのF1での優勝を飾った第9戦オーストリアGPの決勝レースから10日後、Hondaのファクトリーがあるイギリス・ミルトンキーンズで祝勝会が行われた。
「ファクトリーの近くにあるビール醸造所に、スタッフが集まってお祝いをしました。この種のイベントを行うのは、(Hondaが2015年にF1に復帰して以降)初めてだったと思います。イギリスは日本のような飲み会の文化がないので、このように多くの従業員が来て一緒にお酒を飲むというのは、みんなもそれだけ、今回の優勝が嬉しかったんだと思います」と、オーストリアGPの表彰台でフェルスタッペンとシャンパンファイトを演じた田辺豊治F1テクニカルディレクターはこの日、イギリスにいるスタッフたちとも祝杯を交わし、改めて13年ぶりの優勝に酔いしれた。
Hondaはその後、レッドブルのスタッフと合同でカート大会を開催した。レッドブルのファクトリーもHondaと同様、ミルトンキーンズにあり、その街中にあるカート場を貸し切って行われた。大会にはHondaから25名、レッドブルから35名が参加し、1時間半に渡って、熱いバトルが繰り広げられた。
このカート大会をレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表とともに発案したのが、Hondaの山本雅史マネー ジングディレクター(MD)だ。Hondaが2019年からレッドブルと組んで、新たな挑戦を開始するという話し合いをスタートさせたのも、山本MDだった。
いまから2年前の2017年の7月、イギリスGPの直前にレッドブルのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)と密談したのが、始まりだった。山本MDは次のように述懐する。

山本MDとドクター・ヘルムート・マルコ。交渉スタートの舞台は何と町外れのマクドナルドだった

山本MDとドクター・ヘルムート・マルコ。交渉スタートの舞台は何と町外れのマクドナルドだった

「イギリスGPが開催される直前に、交渉相手であるレッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコさんから話がしたいと連絡がありました。交渉に指定された場所は、シルバーストーン・サーキット近郊にあるマクドナルド。サーキットにはチーム関係者が大勢いて、メディアも目を光らせている。マクドナルドなら、F1関係者は来ないから絶対にバレないというのが理由でした」  その年の秋、山本もレッドブルにサプライズの提案を贈った。レッドブル首脳陣を栃木県さくら市にあるHondaの四輪モータースポーツの技術開発を行う研究所『HRD Sakura』に極秘で招待したのだ。契約を結んでいない相手をあえて研究所に招くことで、信頼を得るという山本の作戦だった。  こうして信頼関係を築きあげていった両者は、2018年の6月に、2019年からパートナーを組むことを発表した。  契約合意から1年後の今年6月30日、オーストリアGPでレッドブル・ホンダは見事、初優勝を飾った。マルコはHondaとのプロジェクトに自信をのぞかせる。 「私は今年の開幕前に、5勝を挙げると約束した。私の頭がどうかしたのではないかと言っている人もいたが、オーストリアGPでの勝利で、それが間違いだったことが証明できた。私の目標はいまも変わりない。次の勝利を手にする日が来るのは、そう遠くないだろう」

ドライバーポイント(第10戦終了時点)

順位 ドライバー チーム ポイント
1 ルイス・ハミルトン メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 223
2 バルテリ・ボッタス メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 184
3 マックス・フェルスタッペン アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 136
4 セバスチャン・ベッテル スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 123
5 シャルル・ルクレール スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 120
6 ピエール・ガスリー アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 55
7 カルロス・サインツJr. マクラーレンF1チーム 38
8 キミ・ライコネン アルファロメオ・レーシング 25
9 ランド・ノリス マクラーレンF1チーム 22
10 ダニエル・リカルド ルノーF1チーム 22
11 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノーF1チーム 17
12 ケビン・マグヌッセン リッチエナジー・ハースF1チーム 14
13 セルジオ・ペレス レーシングポイント 13
14 ダニール・クビアト レッドブル・トロロッソ・ホンダ 12
15 アレクサンダー・アルボン レッドブル・トロロッソ・ホンダ 7
16 ランス・ストロール レーシングポイント 6
17 ロマン・グロージャン リッチエナジー・ハースF1チーム 2
18 アントニオ・ジョヴィナッツィ アルファロメオ・レーシング 1
19 ジョージ・ラッセル ウイリアムズ・レーシング 0
20 ロバート・クビサ ウイリアムズ・レーシング 0

コンストラクターポイント(第10戦終了時点)

順位 チーム ポイント
1 メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 407
2 スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 243
3 アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 191
4 マクラーレンF1チーム 60
5 ルノーF1チーム 39
6 アルファロメオ・レーシング 26
7 レーシングポイント 19
8 レッドブル・トロロッソ・ホンダ 19
9 リッチエナジー・ハースF1チーム 16
10 ウイリアムズ・レーシング 0

Hondaの終わりなき挑戦⑨

チームの計らいでHonda F1 13年ぶりとなる優勝の表彰台に上り、マックス・フェルスタッペンと握手を交わす田辺豊治F1テクニカルディレクター。

チームの計らいでHonda F1 13年ぶりとなる優勝の表彰台に上り、マックス・フェルスタッペンと握手を交わす田辺豊治F1テクニカルディレクター。

Hondaが第9戦オーストリアGPで優勝した。HondaのF1での優勝は2006年のハンガリーGP以来、13年ぶりのことだった。そのハンガリーGPで優勝したジェンソン・バトンのエンジン側のレースエンジニアを務めていたのが、現在HondaF1の田辺豊治F1テクニカルディレクターだ。
13年前は表彰台の下で君が代を聞いた田辺TDは、この日はドライバー3人とともに表彰台に上がった。F1だけでなく、インディ時代も含めて、田辺TDにとって初めての表彰台だった。シャンパンボトルを手にした田辺TDが真っ先にシャンパンのしずくを浴びせたのは、表彰台の下にいた仲間たちだった。

真っ先に表彰台下にシャンパンを浴びせる田辺TD。2015年の復帰以来、この表彰台の頂点に上るまでHonda F1のプロジェクトに関わってきた全ての人に向けているかのようだ

真っ先に表彰台下にシャンパンを浴びせる田辺TD。2015年の復帰以来、この表彰台の頂点に上るまでHonda F1のプロジェクトに関わってきた全ての人に向けているかのようだ

「今日の優勝は、このプロジェクトを始めた人たち、またここまで関わってきた人たち、いままで関わってきた人たちすべてのおかげです。私は昨年からこのプロジェクにかかわりましたが、参戦当初はエンジンがかからなかったり、徹夜して動くようにしたけれど、次の日に走らせたら壊れたりしていたと聞いています。そのような日々を過ごした人たちが、それでも自分たちの技術を信じて続けてくれたから、いまがあります」
2015年にF1に復帰したHondaだが、プロジェクトが立ち上げられたのはその2年前。2014年の最終戦アブダビGP後の合同テストが、マクラーレンのマシンに初めてPUを搭載して行った実走行テストだった。だが、テストはトラブルに次ぐトラブルで、スタッフたちの多くがテスト前日の準備日も含めて3日間、ホテルに帰ることができず、サーキットで不眠不休の作業を続けたほどだった。

大応援団の歓声を受けながら走るフェルスタッペン。レース後「Hondaは数年にわたって苦しい時期を過ごしてきたから、今日、彼らのために勝てて最高の気分だ」と語った

大応援団の歓声を受けながら走るフェルスタッペン。レース後「Hondaは数年にわたって苦しい時期を過ごしてきたから、今日、彼らのために勝てて最高の気分だ」と語った

もちろん、この日、優勝したマックス・フェルスタッペンのドライビングも素晴らしかった。そのフェルスタッペンが最後まで攻めることができるマシンを用意したレッドブルも良い仕事をした。しかし、彼らと同じくらい賞賛すべきは、頂点への道を探して、暗中模索してくれた多くの同志たち。彼らがいたからこそ、今日のHondaは頂点に立つことができた。
この日の勝利が、Honda F1の新たな章の扉を開けるきっかけになることを信じている。

ドライバーポイント(第9戦終了時点)

順位 ドライバー チーム ポイント
1 ルイス・ハミルトン メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 197
2 バルテリ・ボッタス メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 166
3 マックス・フェルスタッペン アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 126
4 セバスチャン・ベッテル スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 123
5 シャルル・ルクレール スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 105
6 ピエール・ガスリー アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 43
7 カルロス・サインツJr. マクラーレンF1チーム 30
8 ランド・ノリス マクラーレンF1チーム 22
9 キミ・ライコネン アルファロメオ・レーシング 21
10 ダニエル・リカルド ルノーF1チーム 16
11 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノーF1チーム 16
12 ケビン・マグヌッセン リッチエナジー・ハースF1チーム 14
13 セルジオ・ペレス レーシングポイント 13
14 ダニール・クビアト レッドブル・トロロッソ・ホンダ 10
15 アレクサンダー・アルボン レッドブル・トロロッソ・ホンダ 7
16 ランス・ストロール レーシングポイント 6
17 ロマン・グロージャン リッチエナジー・ハースF1チーム 2
18 アントニオ・ジョヴィナッツィ アルファロメオ・レーシング 1
19 ジョージ・ラッセル ウイリアムズ・レーシング 0
20 ロバート・クビサ ウイリアムズ・レーシング 0

コンストラクターポイント(第9戦終了時点)

順位 チーム ポイント
1 メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 363
2 スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 228
3 アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 169
4 マクラーレンF1チーム 52
5 ルノーF1チーム 32
6 アルファロメオ・レーシング 22
7 レーシングポイント 19
8 レッドブル・トロロッソ・ホンダ 17
9 リッチエナジー・ハースF1チーム 16
10 ウイリアムズ・レーシング 0

Hondaの終わりなき挑戦⑧

第8戦フランスGPではマックス・フェルスタッペンがフェラーリの2台の間に割って入り、4位に食い込んだ。

第8戦フランスGPではマックス・フェルスタッペンがフェラーリの2台の間に割って入り、4位に食い込んだ。

Hondaが第8戦フランスGPで最新型パワーユニット「RA619H」の スペック3を投入した。 今回のアップグレードには、革新的な技術が投入されている。新型のターボチャージャーに航空エンジン開発部門が有する知見と技術が反映されていることだ。
Hondaは傘下に小型ビジネス用ジェット機開発企業を抱えていることは有名だが、その航空エンジンを開発しているのは埼玉県和光市にある航空機エンジンR&Dセンター。一方、F1のエンジンを開発しているのは栃木県さくら市にあるHRD Sakura。直線距離で100km以上も離れている。この2つの距離を縮めたのは、本田技術研究所の松本宣之社長(2019年6月開催予定の定時株主総会後に退任予定)だった。
オートバイや自動車メーカーとして知られているHondaは、二足歩行ロボットのASIMO(アシモ)やHondaJetを開発・生産するメーカーとしても名高く、部門間の交流は珍しくない。2017年にHRD Sakuraに赴任した浅木泰昭は、その後、2018年の1月にセンター長になると、「HRD Sakuraの数百人のメンバーだけでなく、Hondaのすべての研究所から、必要な人材と知見を持ち寄って戦おう」と旗を掲げた松本の方針を具現化し、航空エンジン開発部門とのコラボレーションを密にとっていく。

Hondaの四輪モータースポーツの技術開発を行う研究所・HRD Sakuraのセンター長で、Honda PUの開発責任者を務める浅木泰昭。

Hondaの四輪モータースポーツの技術開発を行う研究所・HRD Sakuraのセンター長で、Honda PUの開発責任者を務める浅木泰昭。

浅木が航空エンジン開発部門に目をつけたのは、2017年から2018年にかけてのHondaが、コンセプトを新しくしたパワーユニットに、ある問題を抱えていたからだった。以前のターボは全体をコンパクトにするためにVバンク角の中に収めていたが、2017年からはターボをVバンク角の外に出して、さらにターボとコンプレッサーを分離。この2つを結ぶシャフトが長くなり、そのシャフトに連結していたMGU-Hにトラブルが多発していた。そこで浅木はF1のパワーユニットと同様に、高温・高回転で使用する航空エンジンを研究開発するスタッフたちに説明して、試作物を作ってもらった。すると一発で解決したモノを作ってきたという。
「もし、あのままMGU-Hが壊れ続けていたら、その後、レッドブルとも契約できていなかったと思います」という浅木は、垣根を超えて協力してくれた航空エンジン研究開発部門に感謝の言葉を贈る。
航空エンジン研究開発部門以外にもHondaはさまざまな部署とコミュニケーションをとり、いまもなお総力を挙げてF1の開発に取り組んでいる。

ドライバーポイント(第8戦終了時点)

順位 ドライバー チーム ポイント
1 ルイス・ハミルトン メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 187
2 バルテリ・ボッタス メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 151
3 セバスチャン・ベッテル スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 111
4 マックス・フェルスタッペン アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 100
5 シャルル・ルクレール スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 87
6 ピエール・ガスリー アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 37
7 カルロス・サインツJr. マクラーレンF1チーム 26
8 キミ・ライコネン アルファロメオ・レーシング 19
9 ダニエル・リカルド ルノーF1チーム 16
10 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノーF1チーム 16
11 ケビン・マグヌッセン リッチエナジー・ハースF1チーム 14
12 ランド・ノリス マクラーレンF1チーム 14
13 セルジオ・ペレス レーシングポイント 13
14 ダニール・クビアト レッドブル・トロロッソ・ホンダ 10
15 アレクサンダー・アルボン レッドブル・トロロッソ・ホンダ 7
16 ランス・ストロール レーシングポイント 6
17 ロマン・グロージャン リッチエナジー・ハースF1チーム 2
18 アントニオ・ジョヴィナッツィ アルファロメオ・レーシング 0
19 ジョージ・ラッセル ウイリアムズ・レーシング 0
20 ロバート・クビサ ウイリアムズ・レーシング 0

コンストラクターポイント(第8戦終了時点)

順位 チーム ポイント
1 メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 338
2 スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 198
3 アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 137
4 マクラーレンF1チーム 40
5 ルノーF1チーム 32
6 レーシングポイント 19
7 アルファロメオ・レーシング 19
8 レッドブル・トロロッソ・ホンダ 17
9 リッチエナジー・ハースF1チーム 16
10 ウイリアムズ・レーシング 0

Hondaの終わりなき挑戦⑦

第7戦カナダGPはマックス・フェルスタッペンの5位がHonda PU勢の最上位。まだまだトップへは道半ばだ

第7戦カナダGPはマックス・フェルスタッペンの5位がHonda PU勢の最上位。まだまだトップへは道半ばだ

Hondaはレッドブルとトロロッソという2つのF1チームにパワーユニットを供給して、チャンピオンを目指している。しかし、Hondaと一緒になって研究と開発を続け、共に頂点を目指しているのは、F1チームだけではない。数千点にも及ぶパーツからできているF1マシンやパワーユニット製造には、さまざまなサプライヤーからの協力が不可欠だ。そんなサプライヤーのひとつが、燃料とオイルを供給しているエクソンモービルだ。今回はそのエクソンモービルのグローバルモータースポーツ・テクノロジーマネージャーを務めるデビッド・ツルサキにHondaとの仕事について聞いた。

パドックでオイルや燃料について話し込むデビッド・ツルサキ エクソンモービルグローバルモータースポーツ・テクノロジーマネージャー(右)と田辺豊治Honda F1テクニカルディレクター(左)。

パドックでオイルや燃料について話し込むデビッド・ツルサキ エクソンモービルグローバルモータースポーツ・テクノロジーマネージャー(右)と田辺豊治Honda F1テクニカルディレクター(左)。

「われわれがHondaと一緒にF1を戦い始めたのは、HondaがF1に復帰した2015年。でも、当時のHondaは参戦初年度でやるべきことがあまりにも多くて、残念ながら、燃料やオイルの開発まで手が回らなかった」
その後、エクソンモービルが他チームへの供給を開始したため、Hondaとの関係は一旦、解消。再びパートナーを組んだのは2018年のトロロッソ・ホンダからだった。
「2017年の末にHondaとミーティングをして、可能な限りのテストを一緒に行った。2018年の2月のテスト解禁まで時間はあまりなかったが、Hondaからのフィードバックはとても早くて、短期間だったにも関わらず、さまざまな有意義なテストができた」(ツルサキ)
その関係はすでにエクソンモービルの燃料とオイルを使用しているレッドブルに、Hondaがパワーユニットを供給するようになった今年に入って一層、加速したとツルサキは述懐する。
「2018年から今シーズンここまでに、われわれがHondaとテストしてきた燃料とオイルは60種類にも上る。カナダGPの前にはHondaから数名のエンジニアがわれわれの研究所を訪れて、ミーティングも行ったよ」
HondaはF1で勝てるのか?-日本人のF1ファンが持つ疑問にツルサキはこう回答する。

Honda、チーム、ドライバー、そして数々のサプライヤー。目指すのは表彰台の真ん中。力を合わせ、強力なライバル達を上回る改善を果たす必要がある

Honda、チーム、ドライバー、そして数々のサプライヤー。目指すのは表彰台の真ん中。力を合わせ、強力なライバル達を上回る改善を果たす必要がある

「勝負だから、必ず勝てるかどうかはわからない。でも、Hondaもレッドブルもそしてわれわれエクソンモービルも優勝を目指すことで一致している。2位や3位じゃなく、表彰台の真ん中に立つ。それがわれわれの共通の目標だ」

ドライバーポイント(第7戦終了時点)

順位 ドライバー チーム ポイント
1 ルイス・ハミルトン メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 162
2 バルテリ・ボッタス メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 133
3 セバスチャン・ベッテル スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 100
4 マックス・フェルスタッペン アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 88
5 シャルル・ルクレール スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 72
6 ピエール・ガスリー アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 36
7 カルロス・サインツJr. マクラーレンF1チーム 18
8 ダニエル・リカルド ルノーF1チーム 16
9 ケビン・マグヌッセン リッチエナジー・ハースF1チーム 14
10 セルジオ・ペレス レーシングポイント 13
11 キミ・ライコネン アルファロメオ・レーシング 13
12 ランド・ノリス マクラーレンF1チーム 12
13 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノーF1チーム 12
14 ダニール・クビアト レッドブル・トロロッソ・ホンダ 10
15 アレクサンダー・アルボン レッドブル・トロロッソ・ホンダ 7
16 ランス・ストロール レーシングポイント 6
17 ロマン・グロージャン リッチエナジー・ハースF1チーム 2
18 アントニオ・ジョヴィナッツィ アルファロメオ・レーシング 0
19 ジョージ・ラッセル ウイリアムズ・レーシング 0
20 ロバート・クビサ ウイリアムズ・レーシング 0

コンストラクターポイント(第7戦終了時点)

順位 チーム ポイント
1 メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 295
2 スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 172
3 アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 124
4 マクラーレンF1チーム 30
5 ルノーF1チーム 28
6 レーシングポイント 19
7 レッドブル・トロロッソ・ホンダ 17
8 リッチエナジー・ハースF1チーム 16
9 アルファロメオ・レーシング 13
10 ウイリアムズ・レーシング 0

Hondaの終わりなき挑戦⑥

市街地レースの中でも独特の雰囲気を放つF1モナコGP。俗に言う「世界三大レース」の一つとして、グランプリの中でも圧倒的な存在感を持っている

市街地レースの中でも独特の雰囲気を放つF1モナコGP。俗に言う「世界三大レース」の一つとして、グランプリの中でも圧倒的な存在感を持っている

インディ500、ル・マン24時間レースとともに「世界三大レース」のひとつに数えられているF1のモナコGPは、ほかのグランプリとは異なる華やかさと厳かな雰囲気がある。
このモナコGPでHondaはのちに語り継がれる名勝負を演じた。1992年、当時開幕5連勝でモナコに乗り込んできたウイリアムズに挑んだのがマクラーレン・ホンダとアイルトン・セナだった。

アイルトン・セナ。27年前のモナコGPでのナイジェル・マンセルとのバトルは語り草となっている

アイルトン・セナ。27年前のモナコGPでのナイジェル・マンセルとのバトルは語り草となっている

約30秒のリードを保ってトップを快走していたウイリアムズのナイジェル・マンセルが、レース終盤にリアタイヤに異変を感じて緊急ピットイン。この間にセナが逆転してトップに立つが、ニュータイヤに履き替えたマンセルは猛追、あっと言う間にセナの背後に迫った。ここから、モナコGP史上に残る激戦が繰り広げられる。

27年前のもう1人の主役、ナイジェル・マンセル。現役時代の力強いドライビングスタイルには今尚ファンが多い。

27年前のもう1人の主役、ナイジェル・マンセル。現役時代の力強いドライビングスタイルには今尚ファンが多い。

最後の数周、チェッカーフラッグまですべてのコーナーでテール・トゥ・ノーズのバトルを演じた末に、マクラーレン・ホンダ駆るセナが優勝。ウイリアムズの連勝を止めた。
あれから27年。今年の伝統の一戦を盛り上げたのは、王者メルセデスのルイス・ハミルトンと、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンだった。2人のバトルはピットストップ直後の12周目から始まり、チェッカーフラッグまで続いた。ただフェルスタッペンは闇雲にハミルトンを抜こうとしたのではない。
「ルイスが僕と異なるコンパウンドのタイヤを履いていたから、プレッシャーをかけ続けて、彼のタイヤを少しでも消耗させれば、仕掛けるチャンスが出てくるだろうと、プレッシャーをかけ続けた」(フェルスタッペン)

時は移り、2019年のモナコGP。ルイス・ハミルトンの背後に迫るマックス・フェルスタッペン。ハミルトンのタイヤの磨耗がこの写真でも良く分かる

時は移り、2019年のモナコGP。ルイス・ハミルトンの背後に迫るマックス・フェルスタッペン。ハミルトンのタイヤの磨耗がこの写真でも良く分かる

この攻撃にハミルトンは「今日は僕のキャリアの中で最もタフなレースのひとつだった。残り20周は、もうタイヤが完全に磨耗していて、いつクラッシュしても不思議ではない状況だった」と、壮絶な戦いだった振り返った。
それでもハミルトンは王者の名に相応しい走りで、78周のレースをトップでチェッカーフラッグを受けた。フェルスタッペンは2番手でフィニッシュしたが、ピットアウトの際にバルテリ・ボッタス(メルセデス)と接触したために、5秒加算のペナルティを受けて4位に終わった。
1992年のセナ以来のモナコGP優勝を飾ることはできなかったHonda。それでも、あの日、セナのチームメートのゲルハルト・ベルガーのエンジン担当エンジニアとしてモナコGPを戦った田辺豊治F1テクニカルディレクターは、この日のレースをこう総括した。

激しく、しかし冷静にハミルトンにプレッシャーを掛け続けたフェルスタッペン。結果こそ4位だったが、今後に期待の持てる走りを見せた

激しく、しかし冷静にハミルトンにプレッシャーを掛け続けたフェルスタッペン。結果こそ4位だったが、今後に期待の持てる走りを見せた

「メルセデスにプレッシャーをかけ続け、最後に並びかけるところまで行けたことは、われわれとしては心強い。今後の開発に対してもモチベーションが上がるシーンでした」
結果以上に大きなものを得た、90周年記念大会となった今年のモナコGPのHondaだった。

ドライバーポイント(第6戦終了時点)

順位 ドライバー チーム ポイント
1 ルイス・ハミルトン メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 137
2 バルテリ・ボッタス メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 120
3 セバスチャン・ベッテル スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 82
4 マックス・フェルスタッペン アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 78
5 シャルル・ルクレール スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 57
6 ピエール・ガスリー アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 32
7 カルロス・サインツJr. マクラーレンF1チーム 18
8 ケビン・マグヌッセン リッチエナジー・ハースF1チーム 14
9 セルジオ・ペレス レーシングポイント 13
10 キミ・ライコネン アルファロメオ・レーシング 13
11 ランド・ノリス マクラーレンF1チーム 12
12 ダニール・クビアト レッドブル・トロロッソ・ホンダ 9
13 ダニエル・リカルド ルノーF1チーム 8
14 アレクサンダー・アルボン レッドブル・トロロッソ・ホンダ 7
15 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノーF1チーム 6
16 ランス・ストロール レーシングポイント 4
17 ロマン・グロージャン リッチエナジー・ハースF1チーム 2
18 アントニオ・ジョヴィナッツィ アルファロメオ・レーシング 0
19 ジョージ・ラッセル ウイリアムズ・レーシング 0
20 ロバート・クビサ ウイリアムズ・レーシング 0

コンストラクターポイント(第6戦終了時点)

順位 チーム ポイント
1 メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 257
2 スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 139
3 アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 110
4 マクラーレンF1チーム 30
5 レーシングポイント 17
6 リッチエナジー・ハースF1チーム 16
7 レッドブル・トロロッソ・ホンダ 16
8 ルノーF1チーム 14
9 アルファロメオ・レーシング 13
10 ウイリアムズ・レーシング 0

Hondaの終わりなき挑戦⑤

第5戦スペインGPスタートシーン。冬季テストで圧倒的な速さを見せていたフェラーリを下し、レッドブル・ホンダのフェルスタッペンがメルセデスに次ぐ3位表彰台を獲得した

第5戦スペインGPスタートシーン。冬季テストで圧倒的な速さを見せていたフェラーリを下し、レッドブル・ホンダのフェルスタッペンがメルセデスに次ぐ3位表彰台を獲得した

F1第5戦スペインGPで、Hondaは開幕戦のオーストラリアGP以来、今シーズン2度目の表彰台を獲得した。現在、HondaはF1ではパワーユニット(PU)を開発・製造し、レッドブルとトロロッソにPUを供給しているが、Hondaが取り組んでいるのはモノ作りだけではない。レースへ参加することでエンジニアやメカニックを育て、さらにF1ドライバーを目指す若手にもチャンスを与えている。今回はそちらにスポットを当ててみよう。

スペインGPではF1のサポートレースとしてF2とF3が行われ、Hondaのサポートを受けた3人の日本人ドライバーが参加した。そのスペインGPに、かつてプロストやミナルディでF1に参戦していた経験を持つ中野信治氏が視察に来ていた。中野氏は、2019年から鈴鹿サーキットレーシングスクールの四輪部門(SRS-Formula・SRS-Kart)のVice Principal(副校長)を務め、Principal(校長)の佐藤琢磨氏とともに、Hondaがサポートする若手の育成に尽力している。その中野氏も、現役時代はHondaのサポートによってレースを戦ってきたひとりだ

第5戦スペインGPのサポートレースにはSRS卒業生も参戦しており、中野信治氏は現地を訪れていた。モーターホーム前で、同じく「若手の育成」に力を入れるトロロッソチーム代表 フランツ・トスト氏との一枚

第5戦スペインGPのサポートレースにはSRS卒業生も参戦しており、中野信治氏は現地を訪れていた。モーターホーム前で、同じく「若手の育成」に力を入れるトロロッソチーム代表 フランツ・トスト氏との一枚

「F1時代は無限を通してHondaからサポートを受けていました。私が99年限りでF1を離れることになった際には、Hondaからアメリカのチャンプカーに挑戦してみないかと声をかけていただき、本当に感謝しています。F1を目指してレースを始めたので、F1から離れるという決断は簡単ではありませんでしたが、Hondaが与えてくれた機会によって、私はアメリカンレースの経験を積ませていただき、その奥深さを知り、いまではかけがえのない財産になっています」と中野氏は語り、さらにこう続けた。

「Hondaのモータースポーツ活動を通して、どれだけ多くの日本人ドライバーが世界へ挑戦するチャンスを得てきたことか。ありがたいという言葉では語りつくせないほど、感謝しています」

だからこそ、Hondaのサポートによって自分が得た経験を少しでも多くの若手へ伝えていくのが自分の使命だと、SRS副校長への就任も快諾したという。

中野氏がVice Principal を務めるSRS-Formulaでは、F1ドライバーを目指す若者達が切磋琢磨を続けている。果たしてこの中から何時次のF1ドライバーが誕生するのか、注目だ

中野氏がVice Principal を務めるSRS-Formulaでは、F1ドライバーを目指す若者達が切磋琢磨を続けている。果たしてこの中から何時次のF1ドライバーが誕生するのか、注目だ

「私が持っている財産は私が一人で得たものではなく、Hondaが与えてくれた経験によって得たもの。私にはこの経験を次の世代に伝えていく義務があると思っています」 しかし、中野氏は「HondaがF1に参戦しているから、自分にもチャンスがあるという甘い考えは捨ててもらいたい」と説く。

「Hondaがサポートしている枠の中に入ろうというような甘い考えでは、この世界では戦えない。Hondaがいなくても世界から認められるような強い心を持てと、若いドライバーたちに言いたい」

日本人ドライバーがF1の舞台から姿を消してから5年が経つ。世界に通用する日本人ドライバーを育てようというHondaのもうひとつの戦いにも注目したい。

ドライバーポイント(第5戦終了時点)

順位 ドライバー チーム ポイント
1 ルイス・ハミルトン メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 112
2 バルテリ・ボッタス メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 105
3 マックス・フェルスタッペン アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 66
4 セバスチャン・ベッテル スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 64
5 シャルル・ルクレール スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 57
6 ピエール・ガスリー アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 21
7 ケビン・マグヌッセン リッチエナジー・ハースF1チーム 14
8 セルジオ・ペレス レーシングポイント 13
9 キミ・ライコネン アルファロメオ・レーシング 13
10 ランド・ノリス マクラーレンF1チーム 12
11 カルロス・サインツJr. マクラーレンF1チーム 10
12 ダニエル・リカルド ルノーF1チーム 6
13 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノーF1チーム 6
14 ランス・ストロール レーシングポイント 4
15 アレクサンダー・アルボン レッドブル・トロロッソ・ホンダ 3
16 ダニール・クビアト レッドブル・トロロッソ・ホンダ 3
17 ロマン・グロージャン リッチエナジー・ハースF1チーム 1
18 アントニオ・ジョヴィナッツィ アルファロメオ・レーシング 0
19 ジョージ・ラッセル ウイリアムズ・レーシング 0
20 ロバート・クビサ ウイリアムズ・レーシング 0

コンストラクターポイント(第5戦終了時点)

順位 チーム ポイント
1 メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 217
2 スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 121
3 アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 87
4 マクラーレンF1チーム 22
5 レーシングポイント 17
6 リッチエナジー・ハースF1チーム 15
7 アルファロメオ・レーシング 13
8 ルノーF1チーム 12
9 レッドブル・トロロッソ・ホンダ 6
10 ウイリアムズ・レーシング 0

Hondaの終わりなき挑戦④

1,001回目のグランプリの舞台、アゼルバイジャンのカスピ海を望む古都バクー

1,001回目のグランプリの舞台、アゼルバイジャンのカスピ海を望む古都バクー

F1第4戦アゼルバイジャンGPで、Hondaは新仕様のスペック2となるICE(エンジン)を投入した。

アゼルバイジャンGPの舞台となるバクー・シティ・サーキットは、コースの後半に、2kmを超える連続全開区間がある。時間にして約24秒間。これはベルギーGPが行われるスパに次ぐ長さで、バクーはエンジンパワーが問われるサーキットのひとつだ。

だが、今回の新スペック投入によって、Hondaはシーズン後半戦にグリッド降格ペナルティを科せられるリスクを背負うこととなった。現在のF1は年間に使用できるICEの基数が3基までと決められている。今年のF1は全21戦で争われるため、1基あたりの耐久性は単純計算で7グランプリ分となる。

そんな中、Hondaは4戦目という早い段階で、2基目のICEを投入してきた。しかも、1基目のICEはトラブルを抱えて使用できない状態ではない。にもかかわらず、新しいICEをバクーに持ち込んだのは、シーズン後半にペナルティを受けてでも、いまは上位陣との差を少しでも埋めようというHondaの開発陣たちの総意だ。それはHondaとパートナーを組むレッドブルとトロロッソも同じである。

第4戦にして2基目のICEの投入が決定され、終盤戦でのペナルティは避けられない状況となったが、エースのフェルスタッペンはポジティブだ

第4戦にして2基目のICEの投入が決定され、終盤戦でのペナルティは避けられない状況となったが、エースのフェルスタッペンはポジティブだ

レッドブルのマックス・フェルスタッペンに、「この時期に2基目のエンジンを投入することになって落胆しているか?」と尋ねたら、「ノー」と即答し、こう続けた。

「僕はHondaがこのアップグレードを投入するために、懸命で努力してくれていることを本当にうれしく思っている。僕たちが年間の使用基数を超えてエンジンを使うことでグリッド降格ペナルティを受けたとしても、パワー面でメルセデスやフェラーリに近づくことができれば、僕は満足だ」

そのフェルスタッペンは、予選で開幕戦以来となる4位を獲得。レースでは表彰台にあと一歩届かず、第2戦バーレーンGP、第3戦中国GPに続いて4位に終わったが、3位ベッテルとの差は5.7秒。前戦中国GPの13.8秒から大きく縮めた(第2戦バーレーンGPはレース終盤にセーフティーカーが出動したため、参考にならず)。

4台体制となり、矢継ぎ早にアップデートを繰り返すレッドブル陣営。メルセデス、フェラーリのパフォーマンスに近付き、そして追い越すために立ち止まってはいられない

4台体制となり、矢継ぎ早にアップデートを繰り返すレッドブル陣営。メルセデス、フェラーリのパフォーマンスに近付き、そして追い越すために立ち止まってはいられない

それでも、フェルスタッペンは言う。

「さらに競争力を増して、メルセデスやフェラーリとのギャップをもっと縮めたい」(フェルスタッペン)

頂点に立つ――その日が来るまで、Hondaのスタッフたちの開発は止まらない。

ドライバーポイント(第4戦終了時点)

順位 ドライバー チーム ポイント
1 バルテリ・ボッタス メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 87
2 ルイス・ハミルトン メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 86
3 セバスチャン・ベッテル スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 52
4 マックス・フェルスタッペン アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 51
5 シャルル・ルクレール スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 47
6 セルジオ・ペレス レーシングポイント 13
7 ピエール・ガスリー アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 13
8 キミ・ライコネン アルファロメオ・レーシング 13
9 ランド・ノリス マクラーレンF1チーム 12
10 ケビン・マグヌッセン リッチエナジー・ハースF1チーム 8
11 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノーF1チーム 6
12 カルロス・サインツJr. マクラーレンF1チーム 6
13 ダニエル・リカルド ルノーF1チーム 6
14 ランス・ストロール レーシングポイント 4
15 アレクサンダー・アルボン レッドブル・トロロッソ・ホンダ 3
16 ダニール・クビアト レッドブル・トロロッソ・ホンダ 1
17 アントニオ・ジョヴィナッツィ アルファロメオ・レーシング 0
18 ロマン・グロージャン リッチエナジー・ハースF1チーム 0
19 ジョージ・ラッセル ウイリアムズ・レーシング 0
20 ロバート・クビサ ウイリアムズ・レーシング 0

コンストラクターポイント(第4戦終了時点)

順位 チーム ポイント
1 メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 173
2 スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 99
3 アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 64
4 マクラーレンF1チーム 18
5 レーシングポイント 17
6 アルファロメオ・レーシング 13
7 ルノーF1チーム 12
8 リッチエナジー・ハースF1チーム 8
9 レッドブル・トロロッソ・ホンダ 4
10 ウイリアムズ・レーシング 0

Hondaの終わりなき挑戦③

1000回目のグランプリとなった2019 F1第3戦 中国GPを制したルイス・ハミルトン

1000回目のグランプリとなった2019 F1第3戦 中国GPを制したルイス・ハミルトン

2019年の第3戦中国GPは、F1の歴史に新たな1ページを加えるグランプリとなった。1950年にイギリスのシルバーストンで初めてF1グランプリが開催されてから、今回が記念すべき通算1000回目のレースとなったからだ。

そのF1にHondaが初めて参戦したのは、1964年。日本ではちょうど東京オリンピックが開催されていたこともあり、F1への関心はまだ低かった。4年後にHondaは、F1参戦当初の「4輪車の技術習得」という目標が達成できたとの判断から、1968年限りでF1から撤退することを決定した。

そのHondaが再びF1への挑戦を開始したのは、1983年。
「レースはHondaの企業文化。勝ち負けではなく、ホンダ車に乗っていただいているお客さまに、最高の技術をお見せするため、そして楽しんでいただくため、レース活動を再開します」(河島喜好社長)というのが理由だった。83年から始まったHondaにおける第二期F1活動は、のちにマクラーレンとの黄金時代にスポットライトが向けられがちだが、Hondaは「日本人にF1レースをもっと知ってもらいたい、もっと興味を持ってもらいたい」という目標を掲げ、エンジンの開発以外にもさまざまな挑戦を行なった。

鈴鹿サーキットでのF1初開催となった1987年のF1日本グランプリ 決勝レースに向けてコースインしていくマシンたち。この後1990年前後にかけて日本では大きなF1ブームが巻き起こった

鈴鹿サーキットでのF1初開催となった1987年のF1日本グランプリ 決勝レースに向けてコースインしていくマシンたち。この後1990年前後にかけて日本では大きなF1ブームが巻き起こった

そのひとつが、1987年に日本GPを鈴鹿サーキットに誘致することであり、日本人ドライバーとして中嶋悟をF1にデビューさせることだった。時を同じくして、日本でF1が全戦テレビ中継されたこともあって、日本でのモータースポーツ文化は急激に栄えることとなった。

現在、ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、HondaでF1活動に従事するようになったのも、ちょうどこのころだった。

1990年 F1日本グランプリ、ピットアウトしていくゲルハルト・ベルガー。このマシンの担当エンジニアが、現在Honda F1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治だった。

1990年 F1日本グランプリ、ピットアウトしていくゲルハルト・ベルガー。このマシンの担当エンジニアが、現在Honda F1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治だった。

小さな頃から自動車に興味があった田辺が本田技術研究所に入社したのは1984年。この年、ウイリアムズにエンジンを供給していたHondaは、68年以来16年ぶりとなるF1での3勝目を挙げた。上司に「F1をやらせてください」と懇願した田辺が、F1の部署に配置されたのはそれから2年後の86年だった。そして、90年にゲルハルト・ベルガー担当エンジニアに抜擢され、マクラーレン・ホンダの黄金時代を支えた。日本でのF1人気向上に一役買った。

その後、Hondaは第3期(2000〜2008年)を経て、2014年からスタートした新しいパワーユニット(PU)時代に、2015年から参加。記念すべき1000回目のF1グランプリとなった中国GPでは、Honda製PUを搭載する4台のうち3台が入賞し、記念のグランプリを盛り上げた。

2019年 F1第3戦 中国GPでマックス・フェルスタッペンは4位、ピエール・ガスリーは6位。ピエール・ガスリーはファステストラップを記録し追加で1ポイントを獲得した。またアレクサンダー・アルボンはピットスタートから追い上げて10位となりポイントを獲得している

2019年 F1第3戦 中国GPでマックス・フェルスタッペンは4位、ピエール・ガスリーは6位。ピエール・ガスリーはファステストラップを記録し追加で1ポイントを獲得した。またアレクサンダー・アルボンはピットスタートから追い上げて10位となりポイントを獲得している

いつの日か、現在のHondaの活躍を見ているファンの中から、田辺TDのようなエンジニアが現れることを願いたい。

ドライバーポイント(第3戦終了時点)

順位 ドライバー チーム ポイント
1 ルイス・ハミルトン メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 68
2 バルテリ・ボッタス メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 62
3 マックス・フェルスタッペン アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 39
4 セバスチャン・ベッテル スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 37
5 シャルル・ルクレール スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 36
6 ピエール・ガスリー アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 13
7 キミ・ライコネン アルファロメオ・レーシング 12
8 ランド・ノリス マクラーレンF1チーム 8
9 ケビン・マグヌッセン リッチエナジー・ハースF1チーム 8
10 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノーF1チーム 6
11 ダニエル・リカルド ルノーF1チーム 6
12 セルジオ・ペレス レーシングポイント 5
13 アレクサンダー・アルボン レッドブル・トロロッソ・ホンダ 3
14 ランス・ストロール レーシングポイント 2
15 ダニール・クビアト レッドブル・トロロッソ・ホンダ 1
16 アントニオ・ジョヴィナッツィ アルファロメオ・レーシング 0
17 ロマン・グロージャン リッチエナジー・ハースF1チーム 0
18 カルロス・サインツJr. マクラーレンF1チーム 0
19 ジョージ・ラッセル ウイリアムズ・レーシング 0
20 ロバート・クビサ ウイリアムズ・レーシング 0

コンストラクターポイント(第3戦終了時点)

順位 チーム ポイント
1 メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 130
2 スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 73
3 アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 52
4 ルノーF1チーム 12
5 アルファロメオ・レーシング 12
6 リッチエナジー・ハースF1チーム 8
7 マクラーレンF1チーム 8
8 レーシングポイント 7
9 レッドブル・トロロッソ・ホンダ 4
10 ウイリアムズ・レーシング 0

Hondaの終わりなき挑戦②

ナイトレースとして開催されるバーレーンGPの舞台、サヒールにあるバーレーン・インターナショナルサーキット。

ナイトレースとして開催されるバーレーンGPの舞台、サヒールにあるバーレーン・インターナショナルサーキット。

バーレーンGPは、Hondaにとってさまざまな思いが交錯するグランプリだ。
2年前の2017年は、パワーユニットのコンポーネントのひとつであるMGU-H(熱エネルギー回生システム)が相次いでトラブルに見舞われた。1台はスタートすることすらできずにレースを終え、もう1台もリタイアという辛酸を舐めた。

2018年、予想を大きく超える4位でフィニッシュしたピエール・ガスリー。2019年の走りにも期待が高まる

2018年、予想を大きく超える4位でフィニッシュしたピエール・ガスリー。2019年の走りにも期待が高まる

昨年は、ピエール・ガスリーが、2015年にF1に復帰して以降、最高位となる4位を獲得し、レース後のトロロッソ・ホンダのガレージは歓喜に包まれた。
そして、2019年のバーレーンGPはHondaのF1史に、またひとつ大きな足跡を刻むレースとなった。

セットアップが決まらず苦労しながらも表彰台まであと一歩の所まで走り抜いたマックス・フェルスタッペン

セットアップが決まらず苦労しながらも表彰台まであと一歩の所まで走り抜いたマックス・フェルスタッペン

予選5番手から決勝レースをスタートしたマックス・フェルスタッペンは、堅実な走りでポジションをキープ。2回目のピットストップ後にフェラーリのセバスチャン・ベッテルがフロントウイングを破損して緊急ピットインしたのにともない、4番手に浮上した。レース終盤にはMGU-Hにトラブルを抱えてペースダウンしていたフェラーリのシャルル・ルクレールに3秒差まで猛追する。
残念ながら、残り2周で他車のアクシデントで出されたセーフティーカーによって逆転はならず、Hondaは開幕戦に続く表彰台を獲得することはできなかった。

しかし、バーレーンGPのHondaの戦いは、これで終わりではなかった。フェルスタッペンがチェッカーフラッグを受けた22秒後にチェッカーフラッグを受けたのが、今年トロロッソからレッドブルに移籍したガスリーだった。8位でフィニッシュしたガスリーにとって、レッドブル・ホンダでのうれしい初ポイントだった。
「今週末はマシンのセットアップに苦しんだけど、レースではいくらかマシンの感触に改善が見られ、ポイントを獲得してレースを終えることができた。次の中国GPではさらに力強さを見せられるよう、できる限りのことをして準備をしていきたい」(ガスリー)

第二戦で初入賞を果たしたアレクサンダー・アルボン。ルーキーとは思えない堅実な走りで開幕戦に続きしっかりとアピールした

第二戦で初入賞を果たしたアレクサンダー・アルボン。ルーキーとは思えない堅実な走りで開幕戦に続きしっかりとアピールした

その4秒後、今度は今年トロロッソ・ホンダからF1にデビューしたアレクサンダー・アルボンが9位でチェッカーフラッグを受けた。新人のアルボンにとっては、これがF1初入賞となった。
「風のせいでマシンの挙動を予想するのが難しい状況だったけど、いい走りを披露することができたと思う。たくさんの経験を積み、そのうえでF1で初めてのポイントを獲得でき、とてもうれしい」(アルボン)

4台全てが完走を果たしたHonda PU陣営。2戦目のバーレーンGPを終えてもPUに大きなトラブルは無く、信頼性が大きく高まっていることがうかがえる

4台全てが完走を果たしたHonda PU陣営。2戦目のバーレーンGPを終えてもPUに大きなトラブルは無く、信頼性が大きく高まっていることがうかがえる

Honda勢3台が同じレースで入賞するのは、1991年第15戦日本GP以来、28年ぶりの快挙。Hondaの田辺豊治F1テクニカルディレクターも「今日はタフなレースだったが、4台とも完走を果たし、そのうち3台がポイント獲得することができた。パワーユニットとしては週末を通してトラブルフリーで走り抜き、それがこの結果につながったと感じている」と信頼性とともに性能向上を評価していた。

ドライバーポイント(第2戦終了時点)

順位 ドライバー チーム ポイント
1 バルテリ・ボッタス メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 44
2 ルイス・ハミルトン メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 43
3 マックス・フェルスタッペン アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 27
4 シャルル・ルクレール スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 26
5 セバスチャン・ベッテル スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 22
6 キミ・ライコネン アルファロメオ・レーシング 10
7 ランド・ノリス マクラーレンF1チーム 8
8 ケビン・マグヌッセン リッチエナジー・ハースF1チーム 8
9 ニコ・ヒュルケンベルグ ルノーF1チーム 6
10 ピエール・ガスリー アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 4
11 ランス・ストロール レーシングポイント 2
12 アレクサンダー・アルボン レッドブル・トロロッソ・ホンダ 2
13 ダニール・クビアト レッドブル・トロロッソ・ホンダ 1
14 セルジオ・ペレス レーシングポイント 1
15 アントニオ・ジョヴィナッツィ アルファロメオ・レーシング 0
16 ジョージ・ラッセル ウイリアムズ・レーシング 0
17 ロバート・クビサ ウイリアムズ・レーシング 0
18 ダニエル・リカルド ルノーF1チーム 0
19 カルロス・サインツJr. マクラーレンF1チーム 0
20 ロマン・グロージャン リッチエナジー・ハースF1チーム 0

コンストラクターポイント(第2戦終了時点)

順位 チーム ポイント
1 メルセデス・AMG・ペトロナス・モータースポーツ 87
2 スクーデリア・フェラーリ・ミッション・ウィノウ 48
3 アストン・マーティン・レッドブル・レーシング 31
4 アルファロメオ・レーシング 10
5 マクラーレンF1チーム 8
6 リッチエナジー・ハースF1チーム 8
7 ルノーF1チーム 6
8 レッドブル・トロロッソ・ホンダ 3
9 レーシングポイント 3
10 ウイリアムズ・レーシング 0

Hondaの終わりなき挑戦①

2019年F1開幕戦オーストラリアGP表彰式。マックス・フェルスタッペンが3位となり、Hondaに11年ぶりの表彰台をもたらした

2019年F1開幕戦オーストラリアGP表彰式。マックス・フェルスタッペンが3位となり、Hondaに11年ぶりの表彰台をもたらした

2019年、Honda F1の新たな挑戦は、11年ぶりの表彰台という形で幕を開けた。2008年のイギリスGP以来の表彰台を獲得したのは、今年からHondaのパワーユニットを搭載したレッドブルを駆るマックス・フェルスタッペン。レッドブルは2010年から4連覇を成し遂げた強豪で、昨年も4勝を挙げ、メルセデス、フェラーリとともにトップ3チームの一角を担っている。

開幕戦オーストラリアGPでは、予選でフェルスタッペンが4位を獲得。レースでは、中盤にフェラーリのセバスチャン・ベッテルをオーバーテイクして3番手に浮上すると、終盤は昨年のチャンピオンのメルセデスのルイス・ハミルトンにプレッシャーをかける力強い走りを披露して、3位表彰台を獲得した。

セバスチャン・ベッテルとマックス・フェルスタッペンの開幕戦バトルシーン。このあとストレートでの伸びを活かしフェルスタッペンが見事オーバーテイクを決めた

セバスチャン・ベッテルとマックス・フェルスタッペンの開幕戦バトルシーン。このあとストレートでの伸びを活かしフェルスタッペンが見事オーバーテイクを決めた

Hondaの山本雅史モータースポーツ部長は「レッドブルは本当に素晴らしいチーム。レースの組み立て方が完璧でした。その戦略とおりに走ることができるマックスも素晴らしかった。フェラーリを抜いたときはしびれました」とパートナーを称えた。

レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表も「Hondaは冬の間に素晴らしい仕事をし、メルセデスとフェラーリとのギャップを縮めるための強力なパワーユニットを準備してくれた」と、Hondaに感謝した。

レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表も開幕戦の結果に手ごたえを感じたようだ。今後の更なるシャシー、パワーユニットの進化でメルセデス、フェラーリとのがっぷり四つの戦いに期待が膨らむ

レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表も開幕戦の結果に手ごたえを感じたようだ。今後の更なるシャシー、パワーユニットの進化でメルセデス、フェラーリとのがっぷり四つの戦いに期待が膨らむ

さらにレッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは「Hondaのパワーユニットに関しては、期待しているパワーはもらっている。もちろん、パワーはいくらあっても不要にはならないから、さらにパワフルなPUを供給されればそれに越したことはないが、現時点でのメルセデスとの差はシャシー(車体)。課題はわれわれの方にある。しかし、目標を変えるつもりはない。今年は5勝する」と勝利を約束した。

開幕戦で3位表彰台を勝ち取ったレッドブルレーシングのエース、マックス・フェルスタッペン。その見つめる先にあるのは、もちろん表彰台の中央だ。

開幕戦で3位表彰台を勝ち取ったレッドブルレーシングのエース、マックス・フェルスタッペン。その見つめる先にあるのは、もちろん表彰台の中央だ。

Hondaの頂点を目指した挑戦は、2019年の開幕戦で表彰台獲得という形で絶好のスタートを切った。さらなる高みを目指した今後の戦いに期待したい。

尾張正博

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