ロードレースと鈴鹿サーキット(2000年〜)

文部科学大臣杯を初めて授与された渡辺。2002年のスーパーバイクチャンピオンで、2007年にはJSB1000でチャンピオンに返り咲く
(写真は2007年)

 1994年から全日本ロードレースのトップカテゴリーとなったスーパーバイククラス。市販オートバイをレース仕様へとチューンしたマシンだが、厳しい改造規制が設けられていた。そして、より市販車に近い状態のレギュレーションとなったのが2002年に新設されたJSB1000クラスだ。JSBのJは日本を、1000は排気量の1000ccを意味している。そしてこの年はスーパーバイク、JSB1000、スーパーネイキッド、プロトタイプと4つのカテゴリーマシンが混走となり、全日本ロードレースは一つの転換期を迎えていたと言える。また、最高峰クラスのチャンピオンに文部科学大臣杯が贈られるようになったのがこの年からで、最初に授与したのは渡辺篤(SUZUKI GSX-R750)だった。
 2003年はスーパーバイク、JSB1000、スーパーネイキッドの3カテゴリーが混走。総合でJSB1000クラスの北川圭一(SUZUKI GSX-R1000)がチャンピオンを獲得した。
 2004年から全日本ロードレースの最高峰クラスはJSB1000に一本化される。より市販車に近いマシンでのレースで、ファンにとってマシンの身近さは、すなわちレースそのものが身近に感じられるものとなった。そしてこの年のチャンピオンに輝いたのが井筒仁康(Honda CBR1000RR)だ。
 2005年・2006年は伊藤真一(Honda CBR1000RR)が連覇。2007年は渡辺篤(SUZUKI GSX-R1000)がチャンピオンに返り咲き、2008年・2009年に中須賀克行(YAMAHA YZF-R1)が初タイトル獲得とともに連覇する。2010年は、Honda系チームに移籍した秋吉耕佑(Honda CBR1000RR)がチャンピオンを獲得し、2011年もタイトルを防衛した。

2008年に中須賀が初めてチャンピオンを獲得。そしてこれが偉大な記録への最初の一歩となった(写真は2008年)
Hondaに移籍した秋吉。韋駄天と呼ばれるように、その速さは驚異的。2010年と2011年にチャンピオンを獲得(写真は2011年)。
#21中須賀、#5伊藤

 2012年からは中須賀克行の独壇場となる。2012年から2016年まで5連覇の偉業を成し遂げたのだ。そして2015年にYAMAHAがYAMAHA FACTORY RACING TEAMとしてファクトリー活動を再開したのはビッグニュースとなり、鈴鹿8耐にも同じ体制で出場したYAMAHAは4連覇を達成する。
 この中須賀克行にストップをかけたのが、高橋巧(Honda CBR1000RR)だった。高橋巧は2017年のJSB1000クラスの開幕戦となった鈴鹿2&4レースと2戦目のスポーツランドSUGOで連勝。対する中須賀克行は、この2レースで転倒を喫してノーポイントで終える。
 この年、高橋巧の優勝はこの2勝だったが、その後もしっかりと高ポイントを獲得すると、逃げ切ってチャンピオンを獲得。中須賀克行は最多5勝を挙げるが3回のノーポイントが響いてランキング6位となった。

2017年の鈴鹿2&4レースで優勝するなど、中須賀の連覇を止めてチャンピオンに輝いた高橋(写真は2017年)

 2018年は、HondaワークスのTeam HRCが全日本に復帰する。ライダーはゼッケン1をつける高橋巧。しかし、この年に中須賀克行が完全復活。全11レースで8勝する強さを見せつけた。さらに中須賀克行は2019年も連覇。そして2020年は、新型コロナウイルスの影響で開催スケジュールが大幅に変更された中で、中須賀克行のチームメイト野左根航汰(YAMAHA YZF-R1)がJSB1000で初チャンピオンを獲得する。

2020年にチャンピオンを獲得した野左根。2021年からスーパーバイク世界選手権にフル参戦を開始する(写真は2020年)

 野左根航汰がスーパーバイク世界選手権参戦のため、2021年のJSB1000はチャンピオンゼッケン1が不在となったが、この年は復活した中須賀克行(YAMAHA YZF-R1)の記録ラッシュとなる。このシーズン中にJSB1000で通算60勝を記録し、さらに全日本ロードレース史上初の全勝で10回目のチャンピオン獲得と、まさに金字塔を打ち立てたのである。
 2021年のランキング2位には、濱原颯道(Honda)が入る。濱原はスーパーモトでチャンピオン獲得経験のあるライダーで、JSB1000でも今後の活躍が期待されている。なお、2022年のJSB1000では、ST600で2度のチャンピオン獲得経験のある岡本裕生がYAMAHA FACTORY RACING TEAMに加入。また、昨年のST1000で岡本裕生の好敵手であった作本輝介もJSB1000にスイッチし、同じくST1000を戦っていた榎戸育寛もJSB1000に上がり、ライダーの若返りが図られた。さらに、現役を退き、YOSHIMURA SUZUKI RIDEWINの監督に就任した加賀山就臣のセンドステージも大いに注目される。ライダーは、速さに定評のある渡辺一樹だ。
 期待の若手たち、そして確実な実力を持つ中堅&ベテランたちが、最強王者・中須賀克行にどのような戦いを挑むのか。今シーズン、そしてそれ以降の戦いは、勢力図が目まぐるしく変わっていきそうな気配で、いよいよ目が離せないのである。

2021年、JSB1000

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