スーパーフォーミュラ最終戦 JAF鈴鹿グランプリ

今季導入のソフトタイヤにより混迷のシーズン序盤。2勝を挙げた山本がランキングトップ

今季導入のソフトタイヤにより混迷のシーズン序盤。2勝を挙げた山本がランキングトップ 第3戦を終え、ランキングトップの山本尚貴(TEAM MUGEN) 写真提供:Takashi Ogasawara
 2018年シーズン開幕3戦が終了した全日本スーパーフォーミュラ選手権。今年は例年以上にオーバーテイクが多いシーズンとなっているが、その見どころをお伝えするとともに、ここまでの戦いを一度おさらいしておこう。

2018年シーズン概要

今季導入のソフトタイヤにより混迷のシーズン序盤。2勝を挙げた山本がランキングトップ 2018年シーズンより、全戦で2スペックタイヤ制を導入 写真提供:Takashi Ogasawara
 各レースに触れる前に、まず押さえておきたいのは2018年シーズンからスーパーフォーミュラに導入されたタイヤ2スペック制だ。2017年までは基本的にヨコハマタイヤが供給するミディアムタイヤの1スペックのみで争われてきたが、2018年シーズンからはソフトコンパウンドも加えた2スペック制に変化。予選・決勝ともに、この2種類のタイヤを使いこなさなくてはならなくなった。
今季導入のソフトタイヤにより混迷のシーズン序盤。2勝を挙げた山本がランキングトップ “F1昇格”をめざすドライバー
※左:松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
※右:福住仁嶺(TEAM MUGEN)
写真提供:Takashi Ogasawara
 また、今年はF1昇格をかけてシリーズに臨んでいるドライバーがふたりいる点も忘れてはならない。FIA-F2に並行参戦する福住仁嶺(TEAM MUGEN)と、昨年までF2に参戦していた松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)のふたりだ。この2名はF1昇格に必要なスーパーライセンス取得のためにシリーズチャンピオン獲得へ並々ならぬ意気込みで臨んでいる。

 ただし、現チャンピオンの石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)をはじめ、小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)や山本尚貴(TEAM MUGEN)、中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)といった実績のあるドライバーたちも当然チャンピオン獲得を狙っている。

 さらに、今年はルーキードライバーにもSUPER GTを戦っている(B-Max Racing team)や、スポット参戦ではあるものの、2017年のマカオF3を制したダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)、フォーミュラV8 3.5でチャンピオン獲得経験のあるトム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)といった経験豊富なドライバーが揃っている。

2018年シーズン開幕戦

 鈴鹿サーキットで開催された第1戦は、先に述べたタイヤ2スペック制に加えレース距離が300キロと50キロ延長されたことで、戦略面に注目が集まった。予選でポールポジションを獲得したのは山本。好スタートを切り、レースをリードしたのも山本だ。

 注目されたレース戦略。トップの山本は51周の決勝レースで32周目にピットインしてタイヤをミディアムからソフトに交換。それまでに築いたアドバンテージによりトップを守ってコースに復帰した。

 一方、ソフトタイヤでかなりの周回数を重ねたのが14番手スタートの関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。ソフトタイヤでレース折り返しの24周を走り切りピットイン。この24周の周回数は、ソフトタイヤを履きスタートしたドライバーのなかで最も長い周回数だった。この戦略が功を奏し、関口はレース終盤、2番手に浮上すると、トップの山本に約2秒のところまで迫ってみせた。

 大半のドライバーが1ピット作戦をとるなか、2ピット作戦を選択したドライバーもいた。しかしこのレースではその作戦はうまくはまらず、2ピット作戦を敢行したドライバーの最上位は塚越広大(REAL RACING)の6位だった。

 結果は山本がポール・トゥ・ウイン。2位に関口、3位は野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。注目のルーキー、福住はマシントラブルでリタイアとなり、松下は予選Q1で速さを見せながらも、続く予選Q2は赤旗にアタックを阻まれ上位グリッドを獲得できず。決勝は12位に終わった。

2018年シーズン第2戦

今季導入のソフトタイヤにより混迷のシーズン序盤。2勝を挙げた山本がランキングトップ 第2戦オートポリス 悪天候により決勝レースキャンセル 写真提供:Takashi Ogasawara
 5月12日(土)〜13日(日)に開催された第2戦オートポリス大会は、悪天候により決勝レースがキャンセル。しかしドライコンディションのなか行われた予選は、今季から導入されたソフトタイヤによって悲喜こもごもが入り混じった。

 2018年シーズンのソフトタイヤは、パフォーマンスのピークが1周とみられており、ソフトタイヤで争われるQ2とQ3ではドライバーによってアタックラップが計測1周目、計測2周目で分かれている。

 オートポリスの予選ではQ3で計測2周目にアタックした平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が予選トップタイムを記録。しかし、平川は第1戦鈴鹿で次戦3グリッド降格のペナルティを受けており、実質的なポールポジションは2番手の野尻。3番手に松下が続いた。

 反対に計測1周目にアタックしたディフェンディングチャンピオンの石浦などはタイヤを温めきれずQ3進出を逃したほか、Q2トップタイムを叩き出した可夢偉はQ3で原因不明のグリップ不足に悩まされるなど、ソフトタイヤの扱いの難しさが際立った予選となった。
今季導入のソフトタイヤにより混迷のシーズン序盤。2勝を挙げた山本がランキングトップ 福住仁嶺(TEAM MUGEN)の代わりに全日本F3選手権参戦中の阪口晴南がドライブ 写真提供:Takashi Ogasawara
 この大会では福住はFIA-F2への参戦のため欠場。代わりに全日本F3選手権へ参戦中の阪口晴南がTEAM MUGENの15号車をドライブした。最終的に11番手で予選を終えた阪口だが、Q1のファーストアタックでトップタイムをマークするなど存在感を見せつけた。

2018年シーズン第3戦

 悪天候のため、決勝レースが中止となったオートポリス大会から2週間後、第3戦がスポーツランドSUGOで開催された。コース幅やランオフエリアが狭く、わずかなミスが大きなクラッシュにつながりやすいことなどから“魔物が住む”とも形容されるサーキット、SUGOでの第3戦はやはり一筋縄ではいかないものだった。

 土曜のフリー走行で伊沢拓也(TCS NAKAJIMA RACING)がクラッシュ。S字コーナーからハイポイントコーナーまでのストレート区間で、衝突したイン側ガードレールが損傷するほどの激しいクラッシュを起こした。伊沢自身に大きなケガはなかったがマシンの損傷は大きく、予選への出走をキャンセルしている。ただ、マシンの修復を間に合わせて決勝レースには出場を果たした。

 そして土曜午後に行われた予選では、Q1で5番手を記録していた関口のタイムが、セッション終了後に抹消される。黄旗掲示中の計測タイムだったことがその理由だが、予選Q1中にタイム抹消の理由がアナウンスされず、混乱が生じた。

 迎えた決勝レースではセーフティカーの介入と、それによるピットインのタイミングが明暗を分けた。序盤にトップを快走したのは可夢偉。しかし16周目に起きたアクシデントによりセーフティカーが導入されたとき、ステイアウトした可夢偉に対しピットインを行ったのが山本だった。
今季導入のソフトタイヤにより混迷のシーズン序盤。2勝を挙げた山本がランキングトップ 第3戦SUGO 序盤にトップを快走、セーフティーカーにより順位を落とす小林 可夢偉(carrozzeria Team KCMG) 写真提供:Takashi Ogasawara
 トップを走る可夢偉はピットでのロスタイムを考慮すると、山本に対し約35秒のマージンを稼げばポジションを維持したままピット作業を経てコース復帰ができる計算。このマージンを作り上げるべく猛ペースで周回を重ね、68周の決勝レース中44周をソフトタイヤで走りきりピットへ向かう。

 しかし、ここまでで可夢偉が築いていたマージンは約30秒。さらにピットではタイヤ交換に時間がかかってしまい、この隙に2番手につけていた山本がトップを奪取する。結局、可夢偉は11番手までポジションを落としてコースに戻ることになった。
今季導入のソフトタイヤにより混迷のシーズン序盤。2勝を挙げた山本がランキングトップ 第3戦SUGO 開幕戦に続く勝利でランキングトップへ 山本尚貴(TEAM MUGEN) 写真提供:Takashi Ogasawara
 これでトップに浮上した山本は、そのまま逃げ切りトップチェッカー。決勝レースが中止となった第2戦オートポリスを挟んで、第1戦鈴鹿に続く実質的な連勝を飾ってみせた。

 2位にはソフトタイヤで63周を走り切ったニック・キャシディ(KONDO RACING)、3位には中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S)が入った。この第3戦ではセーフティカーの存在と、セーフティカー導入時にコース上のどこにいたのか、という要素が勝負の分かれ目となった。

 ルーキー勢としては、ピエトロ・フィッティパルディ(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)の代役として7号車に乗り込んだディルマンが61周をソフトタイヤで走りきり、18番手スタートから4位を獲得。松下は10位だった。

 開幕3戦を終えて見えてきたのは、予選、決勝ともに今季から登場したソフトタイヤを、どれだけうまく使いこなすかが勝敗の鍵になっているということ。予選では限られた時間でタイヤに熱を入れ、クリアラップを取り、狙ったタイミングにタイヤのピークパフォーマンスを持ってくることができるか、決勝では第3戦SUGOの可夢偉やディルマンのように、ラップペースで勝るソフトタイヤをどれだけ長く保たせることができるかがポイントだ。

 シーズン2回目の開催となる鈴鹿戦を含んだシーズン残り4戦も、ソフトタイヤ、そしてそうそうたるドライバー陣が息つく暇もない激戦を演出することになりそうだ。

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