鈴鹿サーキット モータースポーツライブラリー

F1日本グランプリレースレポートF1日本グランプリレースレポート
2009年
鈴鹿初参戦のセバスチャン・ベッテルが圧勝!鈴鹿マイスターへの第1歩を記した

鈴鹿マイスターへの第一歩を記したベッテル(中央)

鈴鹿マイスターへの第一歩を記したベッテル(中央)

鈴鹿サーキットに3年ぶりに日本グランプリが帰ってきた2009年、この年は新チーム、ブラウンGPのジェンソン・バトン、ルーベンス・バリチェロが開幕から圧倒的な強さを見せ、6勝のバトンが84ポイント、2勝のバリチェロが69ポイントを獲得して鈴鹿に乗り込んできた。これを追うのが2勝して59ポイントを獲得したセバスチャン・ベッテル(レッドブル)だ。しかし日本グランプリを含め残りは3戦。ベッテルがチャンピオン争いに残るためには、バトンより6ポイント以上稼ぎださなければならない状況だった。
2007年にデビューしたベッテルにとって、鈴鹿は初体験のコース。ウェットコンディションの金曜日フリー走行では、1回目17番手から午後には一気にタイムを上げて2番手に。デビュー2年目のイタリア・モンツァで、雨の予選とレースを制し、自身とトロ・ロッソに初優勝をもたらしたレースを思わせる展開だ。しかし土曜日はドライコンディション。それでもフリー走行で4番手を記録し、世界屈指と言われる難コースを完全攻略したベッテルは、なんと予選でポール・ポジション(PP)を獲得したのだ。
この春に大改修が完了した鈴鹿サーキット。伝統のコースレイアウトはそのままに、コースサイドの安全性向上対策が行われ、グランドスタンド、ピットビル、パドックなどは近代的なデザインに。常設観戦席の新設、イベント広場や移動用通路の拡張・整備など、観戦環境も大きく向上した。天候にも恵まれ、まさにF1日よりの一日となった決勝日。新生鈴鹿サーキットには10万1千人のファンが訪れ、緊張の一瞬、決勝レーススタートを待った。
新施設のもとで開催された2009年F1日本グランプリ
新施設のもとで開催された
2009年F1日本グランプリ
ベッテルの走り
ベッテルの走り
完ぺきな強さを見せて優勝したベッテル
完ぺきな強さを見せて優勝したベッテル
PPのベッテルは好スタートを切ると一気に後続との差を広げた。初めてのコースとは思えないほど落ち着き、しかも誰よりも速く鈴鹿を駆け抜けた。途中事故処理のためセーフティカーがコースイン。ベッテルのマージンは一気になくなったが、動揺することもなくレース再開後に再び差を広げて優勝。まさに完璧な勝利だった。バリチェロ7位、バトンは8位に終わり、ベッテルはチャンピオン争いに望みを残したのだった。
「ここは神様が作ったとしか思えないすばらしいレイアウトのコースだと思う。最後はもっともっと走りたいって思ったぐらい、ドライビングが楽しかったよ。こんな素敵なコースで優勝できるなんて、本当にうれしい。」とベッテルはレース後に語った。この年は最終的にバトンがタイトルを獲得したが、ベッテルは翌2010年から3年連続チャンピオンを獲得。日本グランプリでもこの年から4年連続PPを獲得。決勝レースも2010年、12年に優勝、2011年3位を獲得。まさに鈴鹿マイスターと言える強さだ。その鈴鹿マイスター誕生の第1歩をしるした2009年日本グランプリのライバルを圧倒する走りは今も語り継がれている。
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