鈴鹿サーキット モータースポーツライブラリー

F1日本グランプリレースレポートF1日本グランプリレースレポート
2003年
バリチェロがライコネンの優勝を阻止し、フェラーリのダブルタイトル獲得を演出

優勝してフェラーリとシューマッハのチャンピオン獲得を演出したバリチェロ

優勝してフェラーリとシューマッハのチャンピオン獲得を演出したバリチェロ

2003年のタイトル争いは最終戦の日本グランプリにもつれ込んだ。フェラーリのミハエル・シューマッハが6勝を記録して92ポイントでランキングトップ。マクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネンが1勝ながらも着実にポイントを稼ぎ、9ポイント差で追っていた。ライコネンは優勝して10ポイント稼ぎだすことが最低条件。シューマッハは1ポイント(8位)でも獲得すればチャンピオンが決まる楽な展開だった。
誰もがシューマッハのタイトルを確信していたが、予選で異変が起きた。シューマッハが14番手に終わったのだ。この年の予選は1台ずつコースインしてタイムアタックするスーパーラップ方式だったが、その出走順は予選1回目最後尾のドライバーからスタートする。シューマッハは予選1回目3番手、ライコネンは5番手。普段ならあとからアタックする方が有利だが、この日は違った。途中で降り始めた雨が終盤激しくなり、シューマッハがコースインする頃にはまともに走れない状況になっていたのだ。ライコネンは8位と、なんとか挽回できるポジションを確保したが、14位に終わったシューマッハは、大混戦の中段グループを抜け出さないと入賞圏内に届かない。これで一気にライコネンに逆転のチャンピオンが見えてきた。
チャンピオンを獲得したシューマッハ
チャンピオンを獲得したシューマッハ
トップを快走するバリチェロ
トップを快走するバリチェロ
バリチェロを追うライコネン
バリチェロを追うライコネン
決勝レースがスタートするとライコネンは目の覚めるような追い上げを見せた。3周目に5位に浮上すると10周目に3位、レース折り返しとなる27周目には2位浮上。あと1台抜けば優勝だ。奇跡とも思えるレース展開にスタンドは沸き返った。
この時トップを走っていたのはシューマッハのチームメイト、ルーベンス・バリチェロだった。ライコネンを抑えればシューマッハのドライバーズチャンピオンが、そして何よりチームの4年連続のコンストラクターズチャンピオンが決まる。予選では雨が降り始め、難しい路面状況の中で見事ポール・ポジションを獲得したバリチェロは、決勝レースもトップを快走。ライコネンが2位に上がってからも、渾身の走りを披露。初チャンピオン獲得のため全力で追うライコネンを全く寄せ付けず、独走で自身7度目となるトップチェッカーを受けた。11回目の挑戦でやっと手にした鈴鹿優勝。そしてチームとチームメイトのチャンピオン、このダブルタイトル獲得を演出したバリチェロの走りは、今でも記憶に残るものだ。
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