鈴鹿サーキット モータースポーツライブラリー

F1日本グランプリレースレポートF1日本グランプリレースレポート
1998年
最大のライバル、ミハエル・シューマッハを実力で破り、
鈴鹿で初チャンピオンを決めたミカ・ハッキネン

表彰式でアーバイン(左)とクルサード(右)にタイトル獲得を称えられるハッキネン

表彰式でアーバイン(左)とクルサード(右)にタイトル獲得を称えられるハッキネン

ルノーエンジンの撤退でウィリアムズの黄金時代が終焉。1998年シーズンはフェラーリとマクラーレン・メルセデスによる優勝争いのシーズンとなった。ドライバーズチャンピオン争いはフェラーリのシューマッハとマクラーレンのミカ・ハッキネンによる一騎打ち。開幕2連勝を決めたハッキネンが序盤リードするが、シューマッハがそれに食らいつく展開となり、ハッキネン90、シューマッハ86と、わずか4ポイント差で最終戦日本グランプリを迎えた。
優勝でチャンピオンを決めるべく、ハッキネンは予選で渾身のアタックを見せた。しかし最後のラップでコースアウト。ポール・ポジションをシューマッハに奪われてしまった。このままの順位でチェッカーを受ければチャンピオンを獲得できるが、2台後ろにはシューマッハのチームメイト、エディー・アーバインが控えている。アーバインに抜かれ3位に転落したらシューマッハの逆転を許してしまう。ハッキネンはギリギリの状況で決勝レースを迎えた。

決勝レーススタート。トップはハッキネン。その後ろにアーバインがつける

決勝レーススタート。トップはハッキネン。その後ろにアーバインがつける

しかし決勝レース直前に異変が起きた。フォーメーションラップが終わり、いざスタートという時にシューマッハのエンジンが止まってしまったのだ。レーススタート手順はやり直しとなり、原因を作ったシューマッハは最後尾スタートに。やり直しのスタートでハッキネンは好ダッシュ。トップをキープして第1コーナーに入っていった。
すぐ後ろでハッキネンのサポートをするはずだったデビット・クルサードはスタートをミスして後退。かわりにフェラーリのアーバインがハッキネンの背後に付けた。アーバインはトップに立ってハッキネンを押さえ、シューマッハの追い上げを待つ作戦を遂行するため渾身の走りで追ったが、差は縮まらない。レース中盤にはシューマッハが3位に浮上し、フェラーリ2台による追撃態勢が整ったかに見えたが、ハッキネンはここからファステストラップを連発。アーバインとシューマッハの追い上げを許さなかった。そして31周目、ついにシューマッハが力尽きた。ホームストレートでいきなりタイヤがバースト。その結果リタイヤとなったのだ。

見事優勝でチャンピオンを決めたハッキネン

見事優勝でチャンピオンを決めたハッキネン

これでハッキネンの初チャンピオンが決定。しかしチャンピオン獲得レースを優勝で締めくくるべく、レース終盤もペースを緩めず快走。アーバインに6秒の差をつけてトップチェッカーを受けた。アーバインとシューマッハの追い上げを振り切り、チャンピオン決定レースで見事優勝したハッキネンの走りは今でも語り継がれている。1990年F3マカオGPで敗れて以来、シューマッハは常にハッキネンの前にいた。その最大のライバルを打ち破っての初タイトルに、ウィニングランではあふれ出る涙をこらえることができなかった。
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