F1

“過去20年で最大の変更”!
ワイド&ローとなる2017年F1新規定をおさらい!

“過去20年で最大の変更”!ワイド&ローとなる2017年F1新規定をおさらい!

Illustration:Craig Scarborough

2017年、”過去20年で最大の変更”とも言われる大幅なレギュレーション改定が行われる。具体的にどう変わるのか、そしてそれによってレースがどうなるのかを予想してみよう。

2014年に敢行された大幅なレギュレーション変更により、エンジンはパワーユニットと呼び名を変え、メルセデスが3年連続でタイトルを獲得し、F1を支配した。メルセデス以外が勝つチャンスは年にわずか1〜2度という、勝者の独占状態に危機感を覚えたことに加え、2016年までのF1が見た目にも不評だったこと、さらにはラップタイムを現在よりも速めたいことなどの理由から、FIAは2017年に再びレギュレーションの変更を決断することになった。

上方から見た図。左が2017年の新レギュレーションのイメージ図、右が2016年マシン。フロントウイングなどが大型化し、形状も変化。タイヤも太くなりコーナリングスピードの向上が予想される。 Illustration:Craig Scarborough
上方から見た図。左が2017年の新レギュレーションのイメージ図、右が2016年マシン。フロントウイングなどが大型化し、形状も変化。タイヤも太くなりコーナリングスピードの向上が予想される。

まずは車体面だが、シャシーでは主に空力に関する規定を改定することになった。

17年のレギュレーション変更により、今季のF1は1周あたりのラップタイムは4秒〜5秒短縮されると予想されているが、その大半はダウンフォース量の増加によって削られるタイムだ。

具体的にはフロントウイング幅が1650mmから1800mmへ広がり、リアのトップウイング幅も750mmから950mmへと拡大、ディフューザーは高さが125mmから175mm、幅は50mm大きくなる。

正面からの図。左が2017年の新レギュレーションのイメージ図、右が2016年マシン。ワイド&ローに大きく変化している。 Illustration:Craig Scarborough
正面からの図。左が2017年の新レギュレーションのイメージ図、右が2016年マシン。ワイド&ローに大きく変化している。

この空力規定の大幅な改定によってダウンフォースは増加し、ドラッグも増すことによって直線スピードは厳しくなるかもしれないが、タイヤもフロントが60mm、リアが80mm幅広となることでコーナリングスピードは大きく向上し、ラップタイムが速くなることは間違いない。また、この変更によってDRSの効果はさらに大きくなることが予想され、レース中のオーバーテイクはこれまで以上に多くなりそうな気配だ。

ルックス的にも2017年のF1は車体幅が1400mmから1600mmと最大幅が広がり、高さは150mm低くなることによって、ワイド&ローなスタイルになる。さらにはリアタイヤ幅が広がることにより、2017年のF1はかつてのF1マシンを彷彿とさせる、これぞF1、という見た目に戻ることになる。

2014年以来、圧倒的な強さでF1を支配してきたメルセデスAMG。今回のレギュレーション改訂には、その強さを抑え勢力を均衡化させる意図が見て取れる。 2014年以来、圧倒的な強さでF1を支配してきたメルセデスAMG。今回のレギュレーション改訂には、その強さを抑え勢力を均衡化させる意図が見て取れる。

また、2017年はシャシーだけではなく、パワーユニットのレギュレーションも大きく変更される。その変更の主目的は、わかりづらいトークンシステムによる開発規制の廃止と、各メーカーのパフォーマンス格差の是正とコスト削減だ。

これまではメルセデスの独壇場だった現行規定だが、その最大の要因は圧倒的なパワーユニットのアドバンテージと、他メーカーがメルセデスのパワーユニットを超えることができない開発規制にあった。2017年に向けてパワーユニット規定の改訂が議論されるなかで、紆余曲折を経てトークン制度の廃止が決定。それに加え、MGU-Kなど、いくつかのコンポーネントに重量制限を課し、使用する素材についても制限が設けられた。

また、メルセデスが他を圧倒する開発能力を発揮してきた燃料の圧縮比の上限を18:1と設定することで、各メーカーの性能差を是正する狙いが見て取れる。

トークンシステムは廃止され、開発規制が緩和される。これまで規制に阻まれて大きな改良を加えられなかったメーカーにも上位に追いつく千載一遇の大チャンスの到来だ。 トークンシステムは廃止され、開発規制が緩和される。これまで規制に阻まれて大きな改良を加えられなかったメーカーにも上位に追いつく千載一遇の大チャンスの到来だ。

パフォーマンス格差の是正に加え、FIAはコスト削減にも乗り出した。16年の規定では1ドライバーあたり年間5基使用できたパワーユニットの基数制限を4基までとするうえ、各コンポーネントにも段階的に制限が加えられることになった。2018年からはICE(内燃エンジン)、ターボ、MGU-Hを年間3基、エナジーストア(ES=バッテリー)、コントロールエレクトロニクス(CE)、MGU-Kは年間2基までに削減されることになる。これらの制限によって、必要な部品点数が2016年までの半分近く減ることになると言われる。

今回のコスト削減政策はカスタマーチームへの供給価格の引き下げや、将来的な予算キャップ導入も含まれている。実際、これまで1基2,500万ユーロ(約31億円)とも言われるパワーユニットの使用料が、FIAが2020年を目処に目指している1200万ユーロ(約15億円)に向けて下げられることになる。

トークンシステムは廃止し、開発規制が緩和されることになるが、パワーユニットの出力の均衡化については、廃止されるトークンシステムに代わってユニットの重量、寸法、ブースト圧の制限などを追加。さらにFIAは出力の測定システムを導入し、年に一度の測定により均衡化の目標が達成されたかどうかを確認する。

2016年までのパワーユニット規制は一端リセットされるような状態になり、メルセデス以外のメーカー、フェラーリ、ルノー、ホンダの4メーカーのパフォーマンス差は再び分からなくなる。すでにルノーやホンダは2016年中から今季の規定に向けた開発の別部隊を走らせていることを明言しており、2017年のF1はメーカーにとっても千載一遇のチャンスとなる。

よりスピードが増し、ドライバーの肉体的負担は増加する。強いGが掛かる中での緻密な操作が求められ、ドライバーの「強さ」がこれまで以上に勝敗を分ける大きな要素となる。 よりスピードが増し、ドライバーの肉体的負担は増加する。強いGが掛かる中での緻密な操作が求められ、ドライバーの「強さ」がこれまで以上に勝敗を分ける大きな要素となる。

また、シャシーの進化、パワーユニット規定の変化でラップタイムが4〜5秒速くなれば、ステアリングを握るドライバーへの負荷はかつてないほど、大きくなる。ダウンフォースの増加とタイヤのワイド化によってコーナリング中の横Gが増大することは間違いなく、首回りの筋肉をはじめ、肉体的な強化がドライバーに求められる。

物理的な負荷が増す中で、ステアリングに備えられた数多くのスイッチ類を細かく操作しながらのドライビングは、まさに未知の領域でもある。肉体的に若手が有利ともすでにささやかれているが、果たして、ドライバーの世代によってパフォーマンスに変化があるのか。F1ドライバーの新たなドライビングにも注目だ。

シャシー規定、パワーユニット規定に加え、ドライバーへの負荷増大、ドライビングの変化など「過去20年で最大」とも言われている17年のレギュレーション改訂。FIAとF1戦略グループによる大胆な変更が実際のレースにどのように作用するのか、目が離せない1年となることは間違いない。

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